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ちくま新書

レヴィナス入門

フッサールとハイデガーに学びながらも、ユダヤの伝統を継承し独自の哲学を展開したレヴィナス。収容所体験から紡ぎだされた強靭で繊細な思考をたどる初の入門書。

定価

968

(10%税込)
ISBN

978-4-480-05800-3

Cコード

0210

整理番号

200

1999/05/19

判型

新書判

ページ数

224

解説

内容紹介

フッサールとハイデガーに学びながらも、ユダヤの伝統を継承し、独特な他者論を展開した哲学者エマニュエル・レヴィナス。自己の収容所体験を通して、ハイデガーのいう「寛大で措しみない存在」などは、こうしたおそるべき現実の前では無化されてしまう、と批判した。人間は本当はどれだけわずかなものによって生きていけるのか、死や苦しみにまつわる切なさ、やりきれなさへの感受性が、じつは世界と生を結びつけているのではないか、といった現代における精神的課題を、レヴィナスに寄り添いながら考えていく、初の入門書。

目次

個人的な経験から―ばくぜんと感じた悲しみ
第1部 原型じぶん自身を振りほどくことができない―『存在することから存在するものへ』を中心に(思考の背景―ブランショ・ベルクソン・フッサール・ハイデガー
存在と不眠―私が起きているのではなく夜じしんが目覚めている
主体と倦怠―存在することに耐えがたく疲れてしまう)
第2部 展開「他者」を迎え入れることはできるのか―第一の主著『全体性と無限』をよむ(享受と身体―ひとは苦痛において存在へと追い詰められる
他者の到来―他者は私にとって「無限」である
世界と他者―他者との関係それ自身が「倫理」である)
第3部 転回:他者にたいして無関心であることができない―第二の主著『存在するとはべつのしかたで』ヘ(問題の転回―自己とは「私」の同一性の破損である
他者の痕跡―気づいたときにはすでに私は他者に呼びかけられている)

著作者プロフィール

熊野純彦

( くまの・すみひこ )

1958年神奈川県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒。同大学院博士課程単位取得退学。東北大学文学部助教授等を経て、現在、東京大学文学部学長。専攻は倫理学。和辻倫理学の学統に属しながらも、故・廣松渉の哲学からも深く学んだ。著書に『ヘーゲル<他なるもの>をめぐる思考』、『レヴィナス入門』(筑摩書房)、『カント―世界の限界を経験することは可能か』(NHK出版)、『レヴィナス―移ろいゆくものへの視線』(岩波書店)、『カント 美と倫理とのはざまで』(講談社)など。翻訳にレヴィナス『全体性と無限 上・下』、ハイデガー『存在と時間(一)~(四)』(岩波書店)、カント『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』(作品社)など。

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