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ちくま新書

頭を冷やすための靖国論

定価

792

(10%税込)
ISBN

978-4-480-06341-0

Cコード

0214

整理番号

640

2007/01/09

判型

新書判

ページ数

240

解説

内容紹介

「靖国問題」が世上を騒がすようになって久しいが、議論の着地点は一向に見えてこない。「靖国派」も「反靖国派」もイデオロギーと感情論に染め抜かれた主張をくり返すばかりだ。こうした議論のもつれは両者がともに問題の本質をとらえ損なったゆえに生じたのではないか。では、この問題の真因とは何か。本書は、靖国をめぐる根深い対立・矛盾を生んだ戦後改革の隠蔽された真実を丹念に読み解くことで、問題の核心をリアルに考え抜く手がかりを与える。今こそ冷静になるための必読書。

目次

第1章 平成版「統帥権干犯問題」?
第2章 歴史のなかの靖国問題
第3章 この問題の割り切れなさ
第4章 天皇の宗教としての国家神道
第5章 神道指令と宗教法人令の真相
第6章 矛盾の顕在化としての靖国問題
第7章 もう一度、あの戦争を考える

著作者プロフィール

三土修平

( みつち・しゅうへい )

1949年東京都生まれ。東京大学法学部卒業。経済企画庁、神戸大学大学院経済学研究科、愛媛大学法文学部教授を経て、現在、東京理科大学理学部教授。経済学博士(神戸大学)。経済学の研究・教育に携わる傍ら、長年宗教問題にも取り組み、求道的側面と社会批評的側面との両面で活動。奈良の東大寺で得度。著書に『頭を冷やすための靖国論』(ちくま新書)、『為替と株で考える経済学』『靖国問題の原点』『はじめてのミクロ経済学』『ミニマムエッセンス統計学』(以上、日本評論社)、『経済学史』(新世社)など多数。

この本への感想

所謂 ”信教の自由”も”政教分離”も、人類普遍の真理
という模範解答的な理解には還元されえない歴史性を帯びて
いる。

西欧文化において、それは、例えば、宗教改革の影響を
受けたブリテン島のピューリタンたちによるスチュアート
朝の国王たちとの戦いと無関係ではなかったように、近代
日本においては、とりわけ第二次世界大戦直後の新憲法で
靖国神社をどのように位置付けるかという具体的な課題が ”信教の自由”と”政教分離”の歴史的文脈だったこと、そして、その課程にこそ昨今の”靖国問題”の解決を困難にしている要素が組み込まれていたことを、著者は既に『靖国問題の原点』(日本評論社)で示していた。

本書において著者は、前著の議論を大幅に踏襲しつつも、
GHQの宗教政策に深く関与した W.K.バンスの顧問
となった宗教学者の岸本英夫が残した資料も参照しながら、靖国神社と”信教の自由”と”政教分離”に関する憲法上
の規定がどのように関連しているのかについて更に分析を
加えている。

願わくば、続編として、このような歴史を踏まえて、私たちは一体どうしたらいいのかについて、著者の提言についてを
記した別個の出版物をお願いしたいと思っている。 
(欲を言えば、本書の著者と同じく仏教徒であり、宗教と
国家についての考察も公にしている阿満利麿氏との対談
などもあれば興味深い。)

Covenanter Endo

さん
update: 2007/02/12

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