大屋雄裕
( おおや・たけひろ )一九七四年生まれ。東京大学法学部卒業。法哲学を専攻。現在、名古屋大学大学院法学研究科教授。著書に『法解釈の言語哲学──クリプキから根元的規約主義へ』(勁草書房)、『自由とは何か──監視社会と個人の消滅』(ちくま新書)が、共著に『岩波講座 憲法1』(岩波書店)、『情報とメディアの倫理(シリーズ〝人間論の21世紀的課題〟』(ナカニシヤ出版)などがある。
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かつてより快適な暮らしが実現した現代社会。各人の振る舞いは膨大なデータとして蓄積され、“好み”の商品情報が自動的に示される。さらにはさまざまな危険を防ぐため、あらかじめ安全に配慮した設計がなされる。こうして快適で安全な監視社会化が進む。これは私たち自身が望んだことでもある。しかし、ある枠内でしか“自由”に振る舞えず、しかも、そのように制約されていることを知らずにいて、本当に「自由」と言えるのか。「自由」という、古典的かつ重要な思想的問題に新たな視角から鋭く切り込む。
第1章 規則と自由(「個人」の自己決定と法・政治
自由への障害
二つの自由―バーリンの自由論
交錯する自由)
第2章 監視と自由(見ることの権力
強化される監視
ヨハネスブルク・自衛・監視
監視と統計と先取り
監視・配慮・権力
「配慮」の意味
衝突する人権?
事前の規制・事後の規制
規制手段とその特質)
第3章 責任と自由(刑法における責任と自由
自己決定のメカニズム
責任のための闘争―刑法四〇条削除問題
主体と責任)
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