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ちくま新書

いま、働くということ

定価

858

(10%税込)
ISBN

978-4-480-06423-3

Cコード

0236

整理番号

720

2008/05/07

判型

新書判

ページ数

272

解説

内容紹介

フリーターが増加し、正社員とそうでない人の格差が広がっている。働く環境が悪化し、「こつこつ働いたところで何になる?」という諦念が蔓延しつつある。お金のため、自己実現のためという、仕事を手段化する感覚が広がるなか、「働く意味」を多くの人が実感できなくなっている。実際には私たちは、見知らぬ人々や自然といった「いのち」の連鎖のなかで生きているという視点から、「いま、働くことの意味」を問い直す。

目次

はじめに―働く意味への問と、労働シニシズム
1 働く環境の破壊
2 何のために働くのか
3 人間の協業の仕組み
4 生きることと働くこと
現代における労働環境―結びに代えて

著作者プロフィール

大庭健

( おおば・たけし )

1946年埼玉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。倫理学、分析哲学を専攻。現在、専修大学教授。著書に『はじめての分析哲学』(産業図書)、『他者とは誰のことか』『権力とはどんな力か』『自分であるとはどんなことか』(以上、勁草書房)、『私という迷宮』(専修大学出版局)、『私はどうして私なのか』『「責任」ってなに?』(以上、講談社現代新書)、『所有という神話』(岩波書店)、『善と悪』(岩波新書)などがある。

この本への感想

 この本は、2つのコペルニクス的転回を私にもたらして
くれました。

 1つは、人間はただ生きているだけでは、存在しているとはいえない、仕事を通して他者に認められてこそ、存在している、という事。

2つ目は、いのちが有ってこそ、その上に自我が存在するということ。そして、自殺する人に関しては、後から発生した自我がいのちを損なってしまうという矛盾を犯していると言うこと。

 特に、2つ目に関して、筆者が引用した、「いのちは私に何を期待しているのか」という言葉は、私の心に光をともしてくれました。
 本来、想像していた、ワーキングプア関連ではなく、働くということを通しての生の哲学の本でした。
 深く、重厚な哲学をわかりやすく伝えてくれて、誠に
ありがとうございます。

相原 和孝

さん
update: 2008/05/31
私は大庭先生がお勤めの専修大学の経済学部を6年かかって卒業したものの、そのときは就職氷河期で正社員で採用してくれる企業もなく、製造の契約社員として働いた後、今の会社に総務事務員として転職いたしました。会社の規模もそれほどでもないため、人事も多少担当しています。

この本を手に取ったのは、上司が
「みんなカネのために嫌々やりたくないことをやってるんだ。給料は社長の財布から払われているも同然なんだから、お前は自分の考えなど持たず、上の者(つまり自分?)の言うことを黙って聞け」
と言われたことに強い違和感を感じながらも、有効な反論が思い浮かばなかったためです。

この上司は労働に対するシニニズムに侵されきっていて、それから脱却をしなければ結局は人材は離れ、技術は蓄積されず目的であったはずのカネすらもらえなくなってしまうのだ・・・と反論しようかと思います。

経済合理性という名の下にいのちの再生産を阻害するような行為はたくさん私も見てきました。しかし、その向かうところは少子化という緩やかな滅亡以外にありえません。

つまり、いつか先生のおっしゃるような考え方を経営者も労働者もしなくてはならない日が必ず来ると思います。

人事担当者として粗悪な労働環境を微力ながら是正する方向に向かわせることが、私の人生が私に求めることなのではないかと思うようになりました。ありがとうございます。

最後に、経済学部じゃなくて文学部で先生のもとで学びたかったなぁとも思ってしまいました・・・

貝塚聡

さん
update: 2008/05/30

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