上杉和央
( うえすぎ・かずひろ )1975年生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。京都大学博士(文学)。京都大学総合博物館助手・助教、京都府立大学講師を経て、現在同大学准教授。著書に、『江戸知識人と地図』(京都大学学術出版会)、『日本地図史』(金田章裕と共著、吉川弘文館)、『近世大坂刊行図集成』(小野田一幸と編著、創元社)などがある。
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地理的な空間をどう認識するかは時代によって異なる。その違いを象徴するのが「地図」である。大きくみれば、江戸時代は日本の「かたち」が地図上で整えられた時代であった。前期は、中世的な感覚にあふれ、観念的に日本の「かたち」が表現された。後期になると、政治や社会の変化にあわせて日本がとらえられるようになる。本書では、江戸時代の日本地図の変遷をたどり、現代の日本の「かたち」がいかにつくられたかを探る。近世史の知られざる側面を照射し、歴史地理学の世界へ読者を招待する一冊。
第1章 伝統からの脱却(江戸時代の前提
中世の日本と世界
世界のなかの日本)
第2章 一七世紀前半の日本像―交差する流れ(日本図史と江戸時代
中世の残像
幕府の日本図)
第3章 江戸時代の中期の日本図―流宣図インパクト(旅の時代
流布する日本像の変化
さかさまの世界
流宣日本図の時代)
第4章 地図を正す(「美しさ」の裏側で
「正しさ」という評価軸)
第5章 新たな日本像の展開(刷られた「正しさ」
伊能図のもたらしたもの)
ちくま新書1144『地図から読む江戸時代』(上杉和央著)に間違いがありましたので、お詫びして訂正いたします。
【訂正箇所】口絵 図4-3享保日本図(松浦静山旧蔵 見当山見通線入り日本図)
【誤】 出所)広島県立歴史博物館
【正】 出所)個人蔵 広島県立歴史博物館寄託、提供 広島県立歴史博物館
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