吉本隆明
( よしもと・たかあき )1924-2012年。東京生まれ。東京工業大学電気化学科卒業。詩人・評論家。戦後日本の言論界を長きにわたりリードし、「戦後最大の思想家」「思想界の巨人」などと称される。おもな著書に『言語にとって美とはなにか』『共同幻想論』『心的現象論』『マス・イメージ論』『ハイ・イメージ論』『宮沢賢治』『夏目漱石を読む』『最後の親鸞』『アフリカ的段階について』『背景の記憶』などがある。
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宮沢賢治の作品は不思議な魅力にあふれている。現実と夢と死後の世界を越境してしまう登場人物たち、かたちや動きがあざやかに浮かび上がる擬音や造語、ちりばめられた暗喩のかずかず。故郷の岩手を飛び出し上京した青年期の手紙の分析から『銀河鉄道の夜』の丹念な読み込みの作業をとおして、生涯を決定した法華経信仰の理念が独特の自然把握や無償の資質と融合する地点に賢治像の基礎を画定する。作品世界における言葉と視線をたぐりよせる傑作詩人論。
第1章 手紙で書かれた自伝
第2章 父のいない物語・妻のいる物語
第3章 さまざまな視線
第4章 「銀河鉄道の夜」の方へ
第5章 喩法・段階・原型
第6章 擬音論・造語論
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