森本和夫
( もりもと・かずお )1927年、奈良県生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京大学名誉教授。
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「私」ならざる「自己」とは何か。何物をも創出しない創出とは、私やわれわれよりも古い約束とは、別なる時間の見方とは、亜=譬喩とは、中性的であることとは、神なしの神学とは何か。現象学的思考の最先端に立って問い続けるデリダが、『プシュケ』において到達した地点は、不思議にも道元の『正法眼蔵』の立つ地点とぴたりと重なった。750年の時空を超えた、希有にして必然の出会い。ひとたび唱和しはじめた両者のエクリチュールは、もはや語り止むことがない。デリダ自身が読むことを渇望した驚くべき論考。
1 「問い」と「答え」
2 「鏡」と「プシュケ」
3 「現存在」と「吾我」
4 「自己」と「他己」
5 「原=時間」と「親曾」
6 「否定」と「不道」
7 「神秘」と「直観」
8 「沈黙」と「説法」
9 「歴劫」と「場所」
10 「祈り」と「回向」
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