ちくま学芸文庫

悪文の構造
─機能的な文章とは
千早耿一郎
著
loading...
1,210
円978-4-480-08509-2
0195
-4-3
1999/09/09
文庫判
352
頁文学という制度に転化する近代小説のリアリズム的主流に対して、探偵小説や伝奇小説など近代的な物語は、自己増殖・自壊を戦略的にはらみ、虚無の彼方に自己解消してしまう装置を内蔵している。この点でまさにウロボロス的といえるのである。夢野久作、小栗虫太郎、国枝史郎、中井英夫から大江健三郎、村上春樹まで、それぞれの作品に鋭く分け入り、その自壊する戦略の意味と深度を問うとともに、ポストモダンの物語批判や文学論を徹底して批判するラディカルな文学論。
序章 物語あるいは自壊する形式―大江健三郎論
第1章 観念と循環する意識―夢野久作論
第2章 顕現する象徴とその消滅―久生十蘭論
第3章 密室という外部装置―江戸川乱歩論
第4章 物語の迷宮・迷宮の物語―小栗虫太郎論
第5章 完全犯罪としての作品―中井英夫論
第6章 伝奇と壊れた物語―国枝史郎論
第7章 欲望と不可視の権力―半村良論
第8章 世紀末都市と超越感覚―稲垣足穂論
第9章 都市感覚という隠蔽―村上春樹論
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。