ちくま学芸文庫
悪文の構造
─機能的な文章とは
千早耿一郎
著
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「宣長問題」とは、宣長とともにたえず近代に再生する日本の自己同一性をめぐる言説の問題である。「宣長」はいつでも人々の関心のうちに存在しても、しかし「宣長問題」はない。この欠落がもつ思想上の意味の重大さを指摘しながら著者は、宣長におけるあの再生する言説の初源的な成立を解き明かす。「やまとことば」という日本の言語的同一性が、宣長によっていかに危うい前提に立って生み出されていくかを鮮やかに分析していく。その作業は近代日本の核をなす日本的内部を成形するものへの徹底した批判的な言説分析の実践である。それは明日に向けて、私たちの視座の転換を促すものである。
序 「宣長問題」という視角
「宣長問題」とは何か
宣長・自己のイマーゴ
『古事記伝』・自己同一性の言説―美しき「口誦のエクリチュール」復元の幻想
「やまとことば」成立の語り
『古事記伝』と『古史伝』・その連続と差異
神とカミの注釈―国学的な神言説の成立
平田篤胤国学の神学的再構成
結び 宣長を読むこと―小林秀雄『本居宣長』再読・「内からの読み」とは何を読むのか
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