市村弘正
( いちむら・ひろまさ )法政大学法学部教授。思想史専攻。著書に『増補「名づけ」の精神史』(平凡社ライブラリー)、『標識としての記録』(日本エディタースクール出版部)、『増補 小さなものの諸形態』(平凡社ライブラリー)、『この時代の縁で』(吉増剛造氏との共著、平凡社)、『読むという生き方』(平凡社)、『社会の喪失』(杉田敦氏との共著、中公新書)など。
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記憶の想起を困難にし、経験の在りようを根底から変えるほどの破壊。区別という概念を無効にする絶対性の侵蝕。言葉のうちにいやおうなく刻まれた無数の傷痕…。二十世紀が直面した光景とはそのようなものであった。この未曾有の苦難は、アーレント、シュミット、ツェランら、知識人たちの応答にいかなる形姿をもたらしたのであろうか。本書は、“赤裸々なリアリティとの恐るべき衝突”によって作動した彼らの思考経験を跡づけると同時に、われわれに残された可能性を照らし出す、省察の結晶である。文庫化にあたり、新たに三篇を増補。
記憶の縁―序にかえて
1 概念の物語
2 非正規性の空間
3 「残された」言葉
4 敗北の記憶
付論(時代認識に関する一考察―一九二〇年代の「発見」をめぐって
「文献学的な知」に向けて
丸山眞男における「恐怖」
ベケットの小さなポリティクス)
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