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ちくま学芸文庫

新式算術講義

『解析概論』へ!

算術は現代でいう数論。数の自明を疑わない明治の読者にその基礎を当時の最新学説で説く。「解析概論」の著者若き日の意欲作。 【解説: 高瀬正仁 】

定価

1,430

(10%税込)
ISBN

978-4-480-09146-8

Cコード

0141

整理番号

-27-1

2008/05/08

判型

文庫判

ページ数

368

解説

内容紹介

数とはなにか?無理数とはなにか?何のためのものか。「量の数値を供給すべしとの要求に応ぜんが為なり」「無理数の定義は天上より落下せるに非ざること明なり」。耳にも心地よい、歯切れのよい文体で著者は明快に論を進める。当時、解析学の至近の課題はその厳密化であった。デデキントやカントールの最新理論に伍して、独自の観点から、ヒルベルトの『幾何学基礎論』に範をもとめて数を論じたい。数の概念の背景に量の概念を配置する、それがアイデアだった。世界的な数学者となる著者の、日本近代数学黎明期の解析学基礎。表記は原書尊重。著者小

目次

第1章 自然数の起源
第2章 四則算法
第三章 負数、四則算法の再審
第4章 整除に関する整数の性質
第5章 分数
第6章 分数に関する整数論的の研究
第7章 四則算法の形式上不易
第8章 量の連続性及無理数の起源
第9章 無理数
第10章 極限及連続的算法
第11章 冪及対数

著作者プロフィール

高木貞治

( たかぎ・ていじ )

1875~1960年。岐阜県生まれ。東京帝国大学理科大学で数学専攻。卒業後3年間ドイツ留学。ゲッチンゲン大学ではヒルベルトに師事。代数的整数論での類体論の構築により世界的に著名。著書として『代数的整数論』『初等整数論講義』『代数学講義』などがあり、また『解析概論』は解析学教科書としていまなお読み継がれている。『新式算術講義』『数の概念』などではくりかえし数の概念の基礎を論述した。また『近世数学史談』により数学を志した学徒も多いという。正田建次郎、彌永昌吉、中山正など錚々たる数学者を育てた。

この本への感想

好い本を出版して下さった。購入した。計算して結果が出ればよい,今更古臭い理論など理屈から学ばずとも結果は正しいことを知っているのであるから「正しいものは正しい」としてよいナドという昨今の世の中の風潮を思うになかなか需要のない本かも知れぬが「正しいものは正しい」「知つていることは使つてよい」という姿勢を反省する好い機会になると思う。数学大好きさんが書いているように弥永昌吉「数の体系」ほど専門的でなく記述は明快。

退職数学者

さん
update: 2017/04/02
読んでみて、この時代にこのような斬新な数の基礎の与え方から、分数・無理数の扱い方の一貫した取り扱い方に敬服するのみである。数の公理は、弥永昌吉先生の「数の体系」(岩波新書)よりも私にとって明解でありました。これからも高木の数学をどんどん出してください。期待しています。

数学大好き

さん
update: 2010/03/31
良くぞ、出してくれました。
ヒルベルト流の公理主義的な数論を、量と結びつけてオリジナルに構築する。若き高木貞治の意気を感じました。
次は「数の概念」をよろしく。

野の石

さん
update: 2008/09/05

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