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ちくま学芸文庫

「やさしさ」と日本人

——日本精神史入門

「やさしい」という言葉は何を意味するのか。万葉の時代から現代まで語義の変遷を丁寧にたどり、日本人の倫理の根底をあぶりだした名著。解説 田中久文

定価

1,100

(10%税込)
ISBN

978-4-480-09720-0

Cコード

0112

整理番号

-45-1

2016/02/09

判型

文庫判

ページ数

256

解説

内容紹介

「やさしさ」は日常ではごくあたりまえに求められる倫理感情である。高度成長期の終わり以降、この言葉はさまざまな場面でインフレ気味に使われ、中身も変質し空疎化してきた。「やさしさ」は、もはや論じるに値しないのか。そうではないだろう、と著者は言う。そこにある確かな語感に倫理を賦活する可能性を看取している。万葉の時代から現代までどのようにこの言葉が捉えられてきたか、その歴史の厚みを丁寧に解きほぐし、日本人の心の基層を明らかにした名著。

目次

第1章 「やさしさ」の現在(「やさしさ」の現状分析
傷つくことと「やさしさ」
ゼロ年代以降の「やさしさ」
太宰治の「やさしさ」)
第2章 「やさし」の精神史(羞恥としての「やさし」
美的理念としての「やさし」
当座の倫理としての「やさし」
情け深さとしての「やさし」)
第3章 「やさしさ」の倫理学(「やさしさ」の自他認識
共感としての「やさしさ」
原質としての「やさしさ」
無常と「やさしさ」)

著作者プロフィール

竹内整一

( たけうち・せいいち )

竹内 整一(たけうち・せいいち):1946年長野県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。東京大学名誉教授。専門は倫理学、日本思想。日本人の精神の歴史を辿りなおしながら、それが現在に生きるわれわれに、どのように繋がっているのかを探求している。主な著書に、『「やさしさ」と日本人』(ちくま学芸文庫)、 『「かなしみ」の哲学』(NHKブックス)、『花びらは散る 花は散らない』(角川選書)、『ありてなければ』(角川ソフィア文庫)、『やまと言葉で哲学する』『やまと言葉で〈日本〉を思想する』『魂と無常』(以上、春秋社)などがある。

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