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シリーズ・全集

新・ちくま文学の森 3 人情ばなし

——人情ばなし

定価

1,923

(10%税込)
ISBN

978-4-480-10123-5

Cコード

0393

整理番号

1994/11/15

判型

四六判

ページ数

416

解説

内容紹介

このよがくもん 幸田文/カブリワラ タゴール/幸福者 モーム/菊 スタインベック/竹の子抄 今東光/沓掛時次郎 長谷川伸 他

目次

このよがくもん(幸田文)
尋三の春(木山捷平)
シモンのとうちゃん(モーパッサン)
カブリワラ(タゴール)
多?Zな仲買人のロマンス(O・ヘンリー)
うみがに(マナット・チャンヨン)
幸福者(モーム)
菊(スタインベック)
文七元結(三遊亭円生)
ごりがん(上司小剣)
竹の子抄(今東光)
ブルーフィルム(グレアム・グリーン)
沓掛時次郎(長谷川伸)
落穂拾い(小山清)
青梅雨(永井龍男)
イングマルソン一族(ラーゲルレーヴ)

著作者プロフィール

鶴見俊輔

( つるみ・しゅんすけ )

1922-2015年。哲学者。1942年、ハーヴァード大学哲学科卒。46年、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。65年、小田実らとベ平連を結成。2004年、大江健三郎らと「九条の会」呼びかけ人となる。著書に『アメリカ哲学』『限界芸術論』『アメノウズメ伝』などのほか、エッセイ、共著など多数。『鶴見俊輔集』全17巻もある。

安野光雅

( あんの・みつまさ )

安野 光雅(あんの・みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『片想い百人一首』などがある。2020年、逝去。

森毅

( もり・つよし)

1928年東京生まれ。東京大学数学科卒業。京都大学教養部教授を長く務める。著書に『まちがったっていいじゃないか』(ちくま文庫)、『数学の歴史』(講談社学術文庫)、『対談 数学大明神』(安野光雅氏と共著、ちくま学芸文庫)ほか多数。2010年7月逝去。

この本への感想

 鼻の奥がツンとする。木山捷平『尋三の春』のおわりのところ、先生が下手な歌を懸命に唄うところで、どういうわけだか、ツンとする。
 ハッとする。タゴール『カブリワラ』の、貧しい商人が見せてくれた大切な大切なたった一枚の紙切れに、心を打たれ、ハッとする。
 顔がほころぶ。小山清『落穂拾い』で、人と人との交流について、なんだかふんわりと滲み出て来るものを感じ、その心地よいぬくもりに、なごみ、ほっとして、顔がほころぶ。
 ふと溜息をもらす。永井龍男『青梅雨』で、支え合いつつ温かく暮らしてきた人たちの、最期だけれども、しかし見事なまでに豊かな会話に、我にもあらず、ふと溜息をもらす。
 丁寧に書かれた巧みな物語というものは、その内側に或るちからを蔵している。たとえそれが、つくりばなしだと承知でいても、読めばその世界にのめり込み、一喜一憂してしまう。あぁ、これこそ物語のちからのなせるワザなのだなぁ、とつくづく思い知らされる。感嘆のほかはない。これは、そんな作家たちの丹念な仕事の成果、珠玉の物語が一堂に会した一冊。じっくり読んで浸りきり、やさしいきもちになれたのでした。

義翁

さん
update: 2009/10/06

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