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シリーズ・全集

新・ちくま文学の森14 ことばの国

——ことばの国

定価

1,923

(10%税込)
ISBN

978-4-480-10134-1

Cコード

0393

整理番号

1995/10/25

判型

四六判

ページ数

400

解説

内容紹介

ア、秋 太宰治/文学祭 伊藤整/記憶の人・フネス ボルヘス/声 コクトー/関所を出てゆく話 魯迅/外郎売り(口上) 他

目次

マザーグースより(和田誠)
古いノートから より(天野忠)
雀こ(太宰治)
「槌ッァ」と「九郎ツァン」は喧嘩して私は用語について煩悶すること(井伏鱒二)
アメアルヨ(尾崎一雄)
恋文(ベルナール)
アリバイ・アイク(ラードナー)
授業(イヨネスコ)
イスール(ルゴーネス)
アダムの日記(マーク・トウェイン)
さらば箱船より(寺山修二)
記憶の人・フネス(ボルヘス)
関所をでてゆく話(魯迅)
外郎売り(室町京之介)
青山(武田百合子)
ぬし屋名人・信太郎(斉藤隆介)
文学祭(伊藤正)
×だらけの社説(ポー)
「滑稽新聞」論説 より(宮武外骨)
玉石集 より(飯沢匡)
通俗書簡文 より(樋口一葉)
樺太アイヌの音韻組織 諸論(金田一京介)
大言海 本書編簒に当りて(大槻文彦)
ニッポンの唄は何故に西洋楽譜に書けないか(兼常清佐)
「千曲川旅情の歌」について(三好達治)

著作者プロフィール

鶴見俊輔

( つるみ・しゅんすけ )

1922-2015年。哲学者。1942年、ハーヴァード大学哲学科卒。46年、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。65年、小田実らとベ平連を結成。2004年、大江健三郎らと「九条の会」呼びかけ人となる。著書に『アメリカ哲学』『限界芸術論』『アメノウズメ伝』などのほか、エッセイ、共著など多数。『鶴見俊輔集』全17巻もある。

安野光雅

( あんの・みつまさ )

安野 光雅(あんの・みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『片想い百人一首』などがある。2020年、逝去。

森毅

( もり・つよし)

1928年東京生まれ。東京大学数学科卒業。京都大学教養部教授を長く務める。著書に『まちがったっていいじゃないか』(ちくま文庫)、『数学の歴史』(講談社学術文庫)、『対談 数学大明神』(安野光雅氏と共著、ちくま学芸文庫)ほか多数。2010年7月逝去。

この本への感想

 「ことばの国」・・・まず、このタイトルに惹かれる。思わずどんな国かと、立寄って、覘いてみたくなる。
 そして、なんと、国の入口で出迎えてくれたのは、和田誠さん訳によるマザー・グース。原詩の押韻を活かそうと、凝りに凝ったこの楽しい訳は私にとっては既に顔なじみ。というのも定本になった単行本を、もう十年以上も前に購入し、何度も読み返しているからなのです。そんなわけで、思わぬ所で旧知に出会ったような気安い気持ちで、このことばの国へと足を踏み入れる事ができたのでした。
 が、次に現れたのは大阪弁で訳された論語、天野忠の『古いノートから』・・・これにはワタクシ、衝撃を受けました。四角い漢字ばかりが並んでカタクルシイ印象しかなかったあの論語を、こともあろうに柔らかい大阪弁でもって見事に仕立て直すというココロミ(いや、タクラミなのかも?)を前にして私はただ唖然とし、そしてその次の瞬間にはニンマリとせずにはいられませんでした。今まで、論語は“アリガタイオコトバ”といったかんじで、身近なものとは思えなかったのが、大阪弁というカタチになることで、近所のおっさんがポソッとつぶやいたような、それでいて深く心に残るような、あったかいような、うれしいような、なつかしいような・・・とにかく、驚くべき名訳になっている!と思いました。
  なんぼ勉強しても
  自分で考えな、あかんで
  考えてもや、よう勉強せなあかんでえ
 ・・・ジュワジュワと、ことばが心に身体に沁みてくる。
 
 他にも、ラードナーの『アリバイ・アイク』ではコミカルな言いわけの妙を堪能し、寺山修司の『さらば箱舟』ではことばが失われてゆくというジリジリするような恐怖を体験し、ことばの狩人、金田一京助と大槻文彦の文章では襟を正す思いをし・・・宮武外骨『「滑稽新聞」論説』、飯沢匡『玉石集』、樋口一葉『通俗書簡文』などなど、『ことばの国』を一巡りして、沢山の面白くて素晴しく、時に珍しい顔をした愛すべきことばたちに出会えることが出来ました。

義翁

さん
update: 2009/08/29

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