あなたはだめな人間なんかじゃない。
情報でむすばれた世界はたしかに狭くなったけれど、憧れや目標はだれも教えてくれないし、見つからない、そう思っているかもしれない。
大人はみんな、どこか窮屈そうにしていてお手本を示してくれないから、あなたは自信が持てなくて、戸惑っているだけ。
そんな、大人と子どもの間で立ち止まっている中高生に向けて、ポルトレを創刊します。
ポルトレとはポートレート、肖像。
あなたと同じように、悩んで、戸惑って、たくさん失敗して、だけど自分の人生を自分の力で切り開いていった、世界中の人たちの姿をポルトレは写しとっていきます。
いまは、自分を肯定できないかもしれないけれど、わたしたちはあなたを未来そのものだと思う。
だから、あなたの人生をほんの少し前へ進めたい。
伝記は、生き方のロールモデルを教えてくれます。
「この人のように熱く生きたい!」「こんな悔いのない、人に喜ばれる人生にしたい!」
こうした思いが、勉強する意欲を生みます。
私自身、伝記や自伝を多数読んで興奮し、意欲や使命感が育ちました。偉大な人のあこがれにあこがれる。このあこがれの連鎖が、生涯のエネルギーになります。とりわけ高校時代に伝記を読むことの意義は大きい。この時期に仕事や生き方の選択が始まるからです。どの道に進んだらいいのか。その道しるべとなるのが伝記なのです。
伝記の人物は、使命感や情熱にあふれ、困難を克服していきます。ミッション・パッション・ハイテンションで荒波を乗り切る強さを、このシリーズから高校生に学んでほしいと思います。
高校生のための伝記シリーズには特別な意義があります。このシリーズが高校生たちの情熱のスイッチをオンにしてくれることを願っています。
ソチ五輪を観ていた人はみな思ったんじゃあないかな。浅田真央選手のあの2日間のドラマは人生の縮図だなって。素人にもわかるショートでの失敗、もうだめかと投げ出したいほどの挫折。でも、何かが吹っ切れたあとのフリーでの納得の演技。それらを乗り越えた者だけが語れる深い言葉。そうした人間のドラマに勝る教材はあるのだろうかと、学校長をやった自分もいまさら思う。
この高校生向け評伝シリーズにはアインシュタイン、スティーブ・ジョブズのラインナップに、ドラえもんの藤子・F・不二雄が並んでいるのが面白い。アインシュタインは学校に馴染めなかったし、ジョブズは大学を中退した。そんな偉人たちの失敗や挫折の物語。成功ではなく、失敗が教材なのだ。