「はじめに」より
沖縄の暴走族やヤンキーの調査を私が始めたのは二〇〇七年のことだ。
その頃、ゴーパチ(国道五八号線)にいた若者たちは、二〇一七年にはサラ金の 回収業、金融屋の経営、スロットの台打ち、性風俗店の経営、ボーイ、型枠解体業、 鳶、塗装、左官、彫師、バイク屋、キャバクラ嬢、弁当屋、主婦になっていた。……
彼らが就いた仕事も、生活スタイルも実にさまざまだが、その大半が過酷だ。 こうした中で、彼らはどのように沖縄を生き抜いてきたのだろうか。
- はじめに
- 下世話な冗談/「電話代がおそろしかった」/あまりに日常的な暴力
- 広島から沖縄へ
- 「メンバーにしてください」/駐車場で飲み明かす/暴走族のパシリになる/響き渡る爆音──沖縄調査一日目/ゴーパチという舞台/卑猥なウチナーグチ
- 拓哉との出会い
- 「すぐにでも結婚したい」/「名護はいいけど地元は嫌」/はじめての土地で彼女をつくる/ナンパをする理由
- 警官とやり合う
- 職務質問を受ける/警官と交渉するスキル/携帯サイト「中部狂走連盟」と写真アルバム/調査の前に信頼関係を築く
- 裕太たちとの出会い
- 「俺、解体屋しかできない」/鉛筆を「重い」と言う裕太/地元で有名な暴れん坊、太一
- 沖組という建築会社
- 沖組を立ち上げる──康夫社長の生活史/会社経営の「最強のタッグ」/ピンチを切り抜ける/「給料支払い遅れなし、定額」
- 沖組での仕事
- 初日の朝/Pコン外しと材料出し/最小限の力で資材を運ぶコツ/材料出しの二つの方法/型枠解体屋の仕事/現場監督vs.従業員/右折をめぐるバトル/朝礼での作業確認/けがの防止と暴力/共同作業を乱す者への暴行/効率よりも上下関係/「時間の話はするな」──一人前への道/現場に鳴り響く音と段取り/事務所の近寄りがたさ
- 週末の過ごし方
- 送別会の夜/先輩たちとのギャンブル/ナンパから、キャバクラ通いへ/ダービーレースと忘年会/仕事と週末と夜の世界
- 沖組を辞めていった若者たち
- 「ズルズルきてしまった」──仲里の生活史/達也への暴行、そして離職/「今の若いのはあまえてるよ」──よしきの生活史/達也のスロット通い/仲里の見立て/その後の仲里、達也、慶太/浩之への暴力/しーじゃたちの仕打ち/「儲けて、金、持ってるのが勝ち」──宮城の生活史/その後の沖組
- 沖組という場所と、しーじゃとうっとぅ
- セクキャバ「ルアン」と真奈
- 「何してでも、自分で稼げよ」──洋介の生活史
- 地元での理不尽な暴力/キセツ先での「屈辱」/「上に立つ」という決意
- 風俗業の世界へ
- 沖縄の性風俗業界/セクキャバ受付からオーナーへ/風俗店の経営者になる/「学歴なんかより、友だち」
- 「足元を見る」ということ
- 「ヤクザ」への対応/越えてはいけない一線──警察への対応/女の子を雇う/「地元つながり」を適切に使う
- 風俗経営をぬける
- 女性従業員へのサポート/杏里と真奈
- 性風俗店の経営と地元つながり
- すべてを捨てて内地へ──勝也の生活史
- 鳶になる
- 和香との結婚、そして別れ
- キャバクラ通い
- 地元のしーじゃとうっとぅ
- キセツとヤミ仕事
- 鳶を辞め、内地へ
- 家出からアジトへ──良夫の生活史
- 「自分、親いないんっすよ」──良哉の生活史
- 夜から昼へ──サキとエミの生活史
- おわりに
- あとがき
- 初出一覧
- 調査実施一覧
- 参考文献
打越正行
ヤンキーと地元 解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち
四六判/304頁/ISBN:978-4-480-86465-9
定価:本体1800円+税