孤島の奇祭「モドリ」の生贄となった
同級生を救った陸と花蓮は祭の驚愕の真相を知る。
悪夢が極限まで疾走する
村田ワールドの真骨頂! 【解説】小澤英実
内容紹介
太平洋に浮かぶ人口2000人ほどの離島・千久世島。
造物主「ポーポー様」なる独自の神話を持つ島では「海のもん」と「山のもん」が時折いがみあいながらも共存してきた歴史があった。
島では年に一度、秘祭「モドリ」が行われる。14歳になり、初めて「モドリ」に参加させられることになる私と親友の花蓮は、
その年の生贄が同級生の高城くんになることを知る。因習に満ち閉塞した島を脱出しようとするが――。
歴史は書き換えられ、世界は塗り替えられ、魂は入れ替えられていく。
村田沙耶香初の試みとなる、演劇界の鬼才・松井周と練り上げた千久世島ワールドを舞台に、
人間が変わり世界が変わりゆく悪夢的現実を圧倒的イマジネーションで紡ぐ。
「早稲田文学増刊 女性号」掲載の、
既存の「性」の役割を根幹から揺さぶり話題となった中編「満潮」を併録。
造物主「ポーポー様」なる独自の神話を持つ島では「海のもん」と「山のもん」が時折いがみあいながらも共存してきた歴史があった。
島では年に一度、秘祭「モドリ」が行われる。14歳になり、初めて「モドリ」に参加させられることになる私と親友の花蓮は、
その年の生贄が同級生の高城くんになることを知る。因習に満ち閉塞した島を脱出しようとするが――。
歴史は書き換えられ、世界は塗り替えられ、魂は入れ替えられていく。
村田沙耶香初の試みとなる、演劇界の鬼才・松井周と練り上げた千久世島ワールドを舞台に、
人間が変わり世界が変わりゆく悪夢的現実を圧倒的イマジネーションで紡ぐ。
「早稲田文学増刊 女性号」掲載の、
既存の「性」の役割を根幹から揺さぶり話題となった中編「満潮」を併録。
著者メッセージ
「変半身」は、とても変な経緯で生まれた作品でした。
なぜ松井さんと一緒に架空の島を作ったのか、何を書くのか決まる前から何度も取材旅行に行ったのか、まったく違うけれど繋がっている別々の物語を作ったのか、今でもよくわからずにいます。でも、一人ではやらないことばかりでした。誰か、見えない大きな生きものに実験されているような気持ちでした。
子供のころから、小説は私にとって聖域で、小説の神様にお祈りする教会でした。そこに、誰か他の人の気配を感じたことは、今までありませんでした。なので、この賑やかなプロジェクトは、とても奇妙な、はじめての出来事でした。せっかくがんばって一緒に架空の島を作ったのに、うまくそこだけを舞台にできなくて、ノートに「自由」と書きました。
そこから、だんだん小説が破裂していったような気がします。
展開が、というわけではなく感覚的に、小説とは何なのかという枠組みがだんだんわからなくなって、言葉が小説の外へ外へとどんどん飛び出して行きました。一生懸命小説の世界を広げて、飛んでいった言葉を追いかけました。
書き終えて読み返してみると、「これで大丈夫だろうか」というとても変な小説でした。
私にとって「自由」という言葉も、違うものに脱皮してしまったかもしれませんでした。
私は、小説をいつも、小さな水槽に似た、実験室のように思っていました。けれど、水槽の外に言葉が飛び出したとき、そこも小説になるのだと、初めて知りました。
今までに書いたことのない領域まで想像の範囲を広げるのが、だんだん楽しい作業になっていきました。
少し変な小説になってしまいましたが、これは、私なりの千久世島の物語です。体の外に思考が飛び出していくくらい、自由に、ゆるゆる、楽しんで頂けたらとてもうれしいです。
なぜ松井さんと一緒に架空の島を作ったのか、何を書くのか決まる前から何度も取材旅行に行ったのか、まったく違うけれど繋がっている別々の物語を作ったのか、今でもよくわからずにいます。でも、一人ではやらないことばかりでした。誰か、見えない大きな生きものに実験されているような気持ちでした。
子供のころから、小説は私にとって聖域で、小説の神様にお祈りする教会でした。そこに、誰か他の人の気配を感じたことは、今までありませんでした。なので、この賑やかなプロジェクトは、とても奇妙な、はじめての出来事でした。せっかくがんばって一緒に架空の島を作ったのに、うまくそこだけを舞台にできなくて、ノートに「自由」と書きました。
そこから、だんだん小説が破裂していったような気がします。
展開が、というわけではなく感覚的に、小説とは何なのかという枠組みがだんだんわからなくなって、言葉が小説の外へ外へとどんどん飛び出して行きました。一生懸命小説の世界を広げて、飛んでいった言葉を追いかけました。
書き終えて読み返してみると、「これで大丈夫だろうか」というとても変な小説でした。
私にとって「自由」という言葉も、違うものに脱皮してしまったかもしれませんでした。
私は、小説をいつも、小さな水槽に似た、実験室のように思っていました。けれど、水槽の外に言葉が飛び出したとき、そこも小説になるのだと、初めて知りました。
今までに書いたことのない領域まで想像の範囲を広げるのが、だんだん楽しい作業になっていきました。
少し変な小説になってしまいましたが、これは、私なりの千久世島の物語です。体の外に思考が飛び出していくくらい、自由に、ゆるゆる、楽しんで頂けたらとてもうれしいです。
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本作「変半身」は、村田沙耶香と劇作家・演出家・俳優の松井 周が
台湾、日本の島での取材と創作合宿を基に共同で原案を開発し、
小説と舞台をそれぞれに発表するinseparable(いんせぱらぶる)というプロジェクトです。
舞台版の「変半身」は、2019年11月29日から全国順次上演されました
台湾、日本の島での取材と創作合宿を基に共同で原案を開発し、
小説と舞台をそれぞれに発表するinseparable(いんせぱらぶる)というプロジェクトです。
舞台版の「変半身」は、2019年11月29日から全国順次上演されました
お知らせ
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- イベント
- 2019.12.13
- 三省堂書店 有楽町店にて村田沙耶香さんのサイン会が開催されます。
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- イベント
- 2019.11.30
- 青山ブックセンターにて村田沙耶香さんと鳥飼茜さんによるトークイベントが開催されます。
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- WEB
- 2019.11.15
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「SPICE」に対談記事が掲載されました。
「私が初めて、人間を疑った時のような気持ちになってもらえたら」
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- 新聞
- 2019.10.12
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毎日新聞で紹介されました。
「切り離せない」小説&演劇 村田沙耶香さん・松井周さん 対話の成果「変半身」