推薦のことば

途方もない試みである。挑戦である。

哲学を「西洋哲学史」の枠から解き放つこと。哲学がそもそも《越境》の武器であったことを考えてみれば、遅すぎたくらいだ。けれどもこの作業に取り組むにはこれまた法外な知的センスと労力が要る。尊敬と緊張とをもって注視しつづけたい。

── 鷲田清一

現在の世界のキーワードは、民主主義とAIに象徴される技術の進歩の2つだと思う。このどちらも、社会を分断化するベクトルを内包している。だからこそ、世界を「丸ごと把握しよう」とする哲学の重要性が再認識されているのではないか。

とても時宜を得た待望の企画である。

── 出口治明

刊行のことば

本シリーズは、古代から現代までを8巻で俯瞰し、時代を特徴づける主題から諸伝統を同時代的に見ていきます。

世界で展開された哲学の伝統や活動を通時的に見る時、現在私たちがどこに立っているか、

将来どうあるべきかのヒントが得られるはずです。

人類の知の営みを新たな視野から再構築すること、それが「世界哲学史」の試みです。

1巻(古代I)

知恵から愛知へ

  • 世界哲学史に向けて

    納富信留

  • 1

    哲学の誕生をめぐって

    納富信留

  • 2

    古代西アジアにおける世界と魂

    柴田大輔

  • 3

    旧約聖書とユダヤ教における世界と魂

    髙井啓介

  • 4

    中国の諸子百家における世界と魂

    中島隆博

  • 5

    古代インドにおける世界と魂

    赤松明彦

  • 6

    古代ギリシアの詩から哲学へ

    松浦和也

  • 7

    ソクラテスとギリシア文化

    栗原裕次

  • 8

    プラトンとアリストテレス

    稲村一隆

  • 9

    ヘレニズムの哲学

    荻原 理

  • 10

    ギリシアとインドの出会いと交流

    金澤 修

2巻(古代Ⅱ)

世界哲学の成立と展開

  • 1

    哲学の世界化と制度・伝統

    納富信留

  • 2

    ローマに入った哲学

    近藤智彦

  • 3

    キリスト教の成立

    戸田 聡

  • 4

    大乗仏教の成立

    下田正弘

  • 5

    古典中国の成立

    渡邉義浩

  • 6

    仏教と儒教の論争

    中島隆博

  • 7

    ゾロアスター教とマニ教

    青木 健

  • 8

    プラトン主義の伝統

    西村洋平

  • 9

    東方教父の伝統

    土橋茂樹

  • 10

    ラテン教父とアウグスティヌス

    出村和彦

3巻(中世Ⅰ)

超越と普遍に向けて

  • 1

    普遍と超越への知

    山内志朗

  • 2

    東方神学の系譜

    袴田 玲

  • 3

    教父哲学と修道院

    山崎裕子

  • 4

    存在の問題と中世論理学

    永嶋哲也

  • 5

    自由学芸と文法学

    関沢和泉

  • 6

    イスラームにおける正統と異端

    菊地達也

  • 7

    ギリシア哲学の伝統と継承

    周藤多紀

  • 8

    仏教・道教・儒教

    志野好伸

  • 9

    インドの形而上学

    片岡 啓

  • 10

    日本密教の世界観

    阿部龍一

4巻(中世Ⅱ)

個人の覚醒

  • 1

    都市の発達と個人の覚醒

    山内志朗

  • 2

    トマス・アクィナスと托鉢修道会

    山口雅広

  • 3

    西洋中世における存在と本質

    本間裕之

  • 4

    アラビア哲学とイスラーム

    小村優太

  • 5

    トマス情念論による伝統の理論化

    松根伸治

  • 6

    西洋中世の認識論

    藤本 温

  • 7

    西洋中世哲学の総括としての唯名論

    辻内宣博

  • 8

    朱子学

    垣内景子

  • 9

    鎌倉時代の仏教

    蓑輪顕量

  • 10

    中世ユダヤ哲学

    志田雅宏

5巻(中世Ⅲ)

バロックの哲学

  • 1

    西洋中世から近世へ

    山内志朗

  • 2

    西洋近世の神秘主義

    渡辺 優

  • 3

    西洋中世の経済と倫理

    山内志朗

  • 4

    近世スコラ哲学

    アダム・タカハシ

  • 5

    イエズス会とキリシタン

    新居洋子

  • 6

    西洋における神学と哲学

    大西克智

  • 7

    ポスト・デカルトの科学論と方法論

    池田真治

  • 8

    近代朝鮮思想と日本

    小倉紀蔵

  • 9

    明時代の中国哲学

    中島隆博

  • 10

    朱子学と反朱子学

    藍 弘岳

6巻(近代Ⅰ)

啓蒙と人間感情論

  • 1

    啓蒙の光と影

    伊藤邦武

  • 2

    道徳感情論

    柘植尚則

  • 3

    社会契約というロジック

    西村正秀

  • 4

    啓蒙から革命へ

    王寺賢太

  • 5

    啓蒙と宗教

    山口雅広

  • 6

    植民地独立思想

    西川秀和

  • 7

    批判哲学の企て

    長田蔵人

  • 8

    イスラームの啓蒙思想

    岡崎弘樹

  • 9

    中国における感情の哲学

    石井 剛

  • 10

    江戸時代の「情」の思想

    高山大毅

7巻(近代Ⅱ)

自由と歴史的発展

  • 1

    理性と自由

    伊藤邦武

  • 2

    ドイツの国家意識

    中川明才

  • 3

    西洋批判の哲学

    竹内綱史

  • 4

    マルクスの資本主義批判

    佐々木隆治

  • 5

    進化論と功利主義の道徳論

    神崎宣次

  • 6

    数学と論理学の革命

    原田雅樹

  • 7

    「新世界」という自己意識

    小川仁志

  • 8

    スピリチュアリスムの変遷

    三宅岳史

  • 9

    近代インドの普遍思想

    冨澤かな

  • 10

    「文明」と近代日本

    苅部 直

8巻(現代)

グローバル時代の知

  • 1

    分析哲学の興亡

    一ノ瀬正樹

  • 2

    ヨーロッパの自意識と不安

    檜垣立哉

  • 3

    ポストモダン、あるいはポスト構造主義の論理と倫理

    千葉雅也

  • 4

    フェミニズムの思想と「女」をめぐる政治

    清水晶子

  • 5

    哲学と批評

    安藤 礼

  • 6

    現代イスラーム哲学

    中田 考

  • 7

    中国の現代哲学

    王前

  • 8

    日本哲学の連続性

    上原麻有子

  • 9

    アジアの中の日本

    朝倉友海

  • 10

    現代のアフリカ哲学

    河野哲也

  • 終章

    世哲学史の展望

    伊藤邦武

別巻

未来をひらく

  • 世界哲学の過去・現在・未来

  • 1

    これからの哲学に向けて―『世界哲学史』全八巻を振り返る

    山内志朗×中島隆博×納富信留

  • 2

    辺境から見た世界哲学

    山内志朗

  • 3

    世界哲学としての日本哲学

    中島隆博

  • 4

    世界哲学のスタイルと実践

    納富信留

  • 世界哲学史のさらなる論点

  • 1

    デカルト『情念論』の射程

    津崎良典

  • 2

    中国哲学情報のヨーロッパへの流入

    井川義次

  • 3

    シモーヌ・ヴェイユと鈴木大拙

    佐藤紀子

  • 4

    インドの論理学

    志田泰盛

  • 5

    イスラームの言語哲学

    野元 晋

  • 6

    道元の哲学

    頼住光子

  • 7

    ロシアの現代哲学

    乗松亨平

  • 8

    イタリアの現代哲学

    岡田温司

  • 9

    現代のユダヤ哲学

    永井 晋

  • 10

    ナチスの農業思想

    藤原辰史

  • 11

    ポスト世俗化の哲学

    伊達聖伸

  • 12

    モンゴルの仏教とシャーマニズム

    島村一平

  • 13

    正義論の哲学

    神島裕子

執筆者

  • 青木 健(静岡文化芸術大学教授)

  • 赤松明彦(京都大学教授)

  • 小倉紀蔵(京都大学教授)

  • 苅部 直(東京大学教授)

  • 小池寿子(國學院大學教授)

  • 佐々木隆治(立教大学准教授)

  • 佐藤 優(作家・元外務省主任分析官)

  • 千葉雅也(立命館大学准教授)

  • 橋爪大三郎(東京工業大学名誉教授)

  • 檜垣立哉(大阪大学教授)

  • ほか

世界哲学史1

── 古代I 知恵から愛知へ

人類は文明の始まりに世界と魂をどう考えたのか。
古代オリエント、旧約聖書世界、 ギリシアから、中国、
インドまで、世界哲学が立ち現れた場に多角的に迫る。

定価:本体940円+税 ISBN: 978-4-480-07291-7

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筑摩書房創業80周年記念出版 ちくま新書 新シリーズ、ついに始動 世界哲学史

世界哲学史2 ── 古代Ⅱ 世界哲学の成立と展開

世界哲学史2

── 古代Ⅱ 世界哲学の成立と展開

キリスト教、仏教、儒教、ゾロアスター教、マニ教などの
宗教的思考について哲学史の観点から領域横断的に検討。
「善悪と超越」をテーマに、宗教的思索の起源に迫る。

定価:本体880円+税 ISBN: 978-4-480-07292-4

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世界哲学史3

── 中世Ⅰ 超越と普遍に向けて

七世紀から一二世紀まで、
ヨーロッパ、ビザンツ、イスラーム世界、中国やインド、
そして日本の多様な形而上学の発展を、
相互の豊かな関わりのなかで論じていく。

定価:本体880円+税 ISBN: 978-4-480-07293-1

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世界哲学史3 ── 中世Ⅰ 超越と普遍に向けて

世界哲学史4 ―中世II 個人の覚醒

世界哲学史4

── 中世II 個人の覚醒

モンゴル帝国がユーラシアを征服し
世界システムが成立する中、世界哲学はいかに展開したか。
天や神など超越者に還元されない
「個人の覚醒」に注目し考察する。

定価:880円+税 ISBN:978-4-480-07294-8

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世界哲学史5

── 中世Ⅲ バロックの哲学

近代西洋思想は、いかにイスラームの影響を受けた
スコラ哲学によって準備され、世界へと伝播したか。
中国・朝鮮・日本までを視野に入れて多面的に論じていく。

定価:1,000円+税 ISBN:978-4-480-07295-5

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世界哲学史5 中世Ⅲ バロックの哲学

世界哲学史6 近代Ⅰ 啓蒙と人間感情論

世界哲学史6

── 近代Ⅰ 啓蒙と人間感情論

啓蒙運動が人間性の復活という目標をもっていたことを、
東西の思想の具体例とその交流の歴史から浮き彫りにしつつ、
一八世紀の東西の感情論へのまなざしを探る。

定価:920円+税 ISBN:978-4-480-07296-2

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世界哲学史7

── 近代II 自由と歴史的発展

旧制度からの解放を求めた一九世紀の「自由の哲学」とは何か。
欧米やインド、日本などでの知的営為を俯瞰し、
自由の意味についての哲学的探究を広く渉猟する。

定価:本体920円+税 ISBN: 978-4-480-07297-9

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世界哲学史7 近代II 自由と歴史的発展

世界哲学史8 現代 グローバル時代の知

世界哲学史8

── 現代 グローバル時代の知

西洋現代哲学、ポストモダン思想から、
イスラーム、中国、日本、アフリカなど
世界各地の現代哲学までを渉猟し、
現代文明の危機を打開する哲学の可能性を探る。

定価:本体940円+税 ISBN: 978-4-480-07298-6

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世界哲学史 別巻

── 未来をひらく

古代から現代までの『世界哲学史』全八巻を踏まえ、
論じ尽くされていない論点、明らかになった新たな課題について考察し、
未来の哲学の向かうべき先を考える。

定価:本体1150円+税 ISBN: 978-4-480-07364-8

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世界哲学史 別巻 ――未来をひらく

世界哲学史 全8巻+別巻セット

世界哲学史全8巻+別巻セット

古代から現代まで世界哲学史を一望に収めた、空前絶後の超大型シリーズ。
全8巻+別巻の9冊セットを特別美麗ケースに入れてお届けいたします。

定価:本体8,510円+税 ISBN:978-4-480-07290-0

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