目次
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まえがき
現代によみがえるナイチンゲール/実像のナイチンゲールに近づくために/〝クリミアの天使〞というイメージはどこからきたのか
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第一章
社会的自立を求めて苦悩の日々を送る
- 一九世紀の英国社会/フロレンスの父と母/ナイチンゲール家の邸宅/ナイチンゲール家の人々/両親と娘たち/娘たちの初舞台/苦悩の日々/使命の発見/天職に向けて/看護師への道、遠のく/ローマへの旅/ナイチンゲールにとっての神/長い、長い恋の結末/カイゼルスヴェルト学園/家族からの独立
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第二章
《淑女病院》勤務からクリミア戦争従軍へ
- 淑女病院の総監督として/手始めにしたこと/実務者としてのナイチンゲール/一年間でやり遂げたこと/クリミア戦争の勃発/スクタリに向けて出発/スクタリの兵舎病院の実情/スクタリにおけるナイチンゲール/戦場におけるもう一つの変化/帰国後の決心
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第三章
社会科学者として成長したナイチンゲール
- 数学や統計学のとりこになった青年期/統計学の水準とナイチンゲールの関心/衛生改革者としての基礎を築く/初めて行った社会調査/一八五〇年頃の英国の病院実態/陸軍組織改革の企て/「勅選委員会」の仕事/二つの報告書
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第四章
ナイチンゲールが作成した統計図表
- 英国兵士の死因別死亡率/国内の陸軍兵士たちの置かれた劣悪な生活環境/医療統計分野の草分け的存在/ケトレを凌いだ実力
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第五章
病院建築家の顔を持つナイチンゲール
- 『病院覚え書』を執筆/病院建築構造による健康被害/ 〝病院病〞発生の原因/パビリオン構造の病院建築の利点/ナイチンゲールが提言した病棟構造の特徴/ナイチンゲール病棟の評価/現代の英国病院建築家の見解
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第六章
ナイチンゲール、〝看護とは何か〞を解く
- 『看護覚え書』の価値/人類史上初の科学的看護論/『看護覚え書』のコア概念/〈自然の回復過程を助ける〉のが看護の仕事/例えば、インフルエンザに罹った人へのケアの基本は?/〈生命力の消耗を最小にするケア〉とは?/各論で述べていることは現代人も守るべきこと/日本で読み継がれている改定第二版『看護覚え書』
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第七章
看護師教育を拓いたナイチンゲール
- 〝ナイチンゲール基金〞の創設と学校開設の兆し/近代看護の夜明け――ナイチンゲール看護師訓練学校の開設/初期のナイチンゲール看護師訓練学校の形/教育訓練システムの概要/教科書の指定と人格形成教育/世界に足跡を残した〝ナイチンゲール〞たち/日本におけるナイチンゲール方式の教育
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第八章
病院看護組織と看護師の働き方改革
- 看護師は病人に害を与えてはならない/看護部門の独立と自立/看護管理者に求められるもの/合理的で効率のよい組織の形成/看護師の健康を守るための体制づくり
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第九章
助産師養成計画とその挫折をバネに
- 日本の助産の歴史概観/英国における助産事情/ナイチンゲールの決意/産褥熱という感染症を巡る医師たちの見解/分娩時の死亡率を下げるための提言/助産師教育への夢
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第一〇章
地域看護師養成事業と公衆衛生看護制度のめばえ
- 地域看護のスタート地点││リヴァプール/ナイチンゲールの協力と関与/英国の地域看護制度の特徴/ナイチンゲール、世論に訴える/ナイチンゲールの地域看護師像/地域看護師の訓練システム/ナイチンゲールからのメッセージ
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第一一章
福祉国家への布石
- 一九世紀英国の貧困階層の実態/ナイチンゲールによる救貧院の実態調査/ナイチンゲールによる救貧法改革案ABC/首都救貧法の制定とその意義/『救貧覚え書』にみるナイチンゲールの救貧観
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第一二章
ナイチンゲールが書いた印刷文献と手稿文献
- 膨大な著作をまとめるプロジェクト/『ナイチンゲール著作目録』の全体像/『ナイチンゲール著作目録』邦訳の現状/ナイチンゲールの手稿文献/ナイチンゲール看護学校内のナイチンゲール文献/カナダのナイチンゲール研究者、リン・マクドナルド博士
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第一三章
穏やかな晩年
- サウス街一〇番地の住処/穏やかな日々/動物好きだったナイチンゲール/親しい人びととの別れと新たな仕事/九〇年を生きて
- おわりに
- 真実の姿が見える伝記を/本書の特徴は二点/ひとりの女性の生き方として
- 引用・参考文献
- 図版の出典
- 年表