山脇直司
( やまわき・なおし )一九四九年青森県八戸市に生まれる。一橋大学経済学部卒業。上智大学大学院哲学研究科修士課程修了。一九八二年ミュンヘン大学にて哲学博士号を取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻教授。専門は公共哲学、社会思想史。著書に『公共哲学とは何か』『社会思想史を学ぶ』(ともに、ちくま新書)、『社会とどうかかわるか』(岩波ジュニア新書)、『ヨーロッパ社会思想史』『グローカル公共哲学』(ともに、東京大学出版会)、『新社会哲学宣言』(創文社)他。
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二〇一一年三月一一日に東日本を襲った大地震と大津波、それにともなう福島の原発事故は、実際上の問題だけでなく、公共哲学という“善き公正な社会を追求し、現下の公共的問題を考える”学問にも様々な問いを投げかけることとなった。それらに今どのように応えるのがふさわしいのか。日本における第一人者が、議論の手がかりとなる有力な学説を紹介しながら、3・11以降の社会を考えるための羅針盤を提示する。
序章 3・11の衝撃と公共哲学(公共哲学とポスト3・11―その意味するもの
3・11が突きつけた諸問題と諸課題)
第1章 公共哲学の「人間‐社会」観と倫理観(「滅私奉公・滅公奉私」対「活私開公・滅私開公・滅私開公=新しい公共」
「活私開公」の政治思想
「滅私開公」の政治思想
新しい倫理的なヴィジョン
「居場所」/「出番」とグローカル公共哲学)
第2章 メディアと宗教の公共的役割(メディアをめぐる二〇世紀の古典的論争―リップマン対デューイ
公共世界を活かすメディアへの途
欧米の論客たちの「宗教と公共」論
日本の知的端緒の再発見
宗教間対話?ニ協働の公共哲学のために)
第3章 新しい「公共的な諸学」の構想(「自然‐技術」観、歴史観、そして、学問論の問い直しへ
ポスト専門化時代の学問理念―現状分析・ヴィジョン・政策論
責任倫理、リスク社会、人間の安全保障と人間の発展
科学技術の将来とガヴァナンス―熟議民主主義に向けて
経世済民の学のために―意識改革と公共的価値論)
第4章 これからの正義と人権の話をしよう―サンデル・ブームを超えて(ロールズ以降、何が争点とされ、何が争点とされていないのか
正義の危うさにどう対処するか
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