五十嵐惠邦
( いがらし・よしくに )一九六〇年、大阪に生まれる。国際基督教大学教養学部社会科学科卒業。シカゴ大学歴史学部Ph.D.。アイオワ大学歴史学部講師などを経て、現在バンダービルト大学歴史学部準教授。専攻、戦後日本文化史。著書に『敗戦の記憶──身体・文化・物語 1945─1970』(中央公論新社)。
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敗戦後、歴史的力により戦地から本国への帰還が遅れてしまった人びとがいる。復興から経済発展へのパラダイムが形成されつつあるなか、拭いがたい違和感や齟齬をかかえ、彼らは戦後という時間をいかに生きたのか。五味川純平、石原吉郎、横井庄一、小野田寛郎、中村輝夫…。本書は複数の周縁的・両義的存在の歩みを丹念に読み解き、もうひとつの歴史を描きだす試みである。戦後日本社会を構成する条件とは何か、いま一度根本から問う。
第1章 戦いが終わって―映画の中の帰還者たち
第2章 五味川純平と『人間の條件』―帰還できなかった梶上等兵の物語
第3章 遅れて帰りし者たち―シベリア抑留と抑留者の戦後日本への帰還
第4章 告発せず―石原吉郎のシベリア抑留体験とその内的な問い直し
第5章 英霊の生還―横井庄一をめぐる戦後日本の狂騒
第6章 過去からの救出―元陸軍少尉小野田寛郎と戦後日本との確執
終章 最後の「日本兵」の帰還―中村輝夫/スニヨン/李光輝の戦後
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