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筑摩選書

関東大震災 虐殺の謎を解く

——なぜ発生し忘却されたのか

あの日何が起きたか 誰が何をしていたのか 真相を究明する

関東大震災でなぜ多くの朝鮮人が殺され、虐殺は忘れ去られたのか。このテーマを追い続けてきたジャーナリストが新資料を駆使して真相を解明する決定版震災研究。

定価

2,090

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01828-1

Cコード

0321

整理番号

0308

2025/07/15

判型

四六判

ページ数

336

解説

内容紹介

関東大震災で多くの朝鮮人が殺されたのはなぜか。荒唐無稽な流言に人びとが脅えたのはなぜか。百年を経た今も謎の歴史に迫るため、陸軍の記録、小学生の作文、海軍練習艦の無線傍受録、隠されていた閣議の決定、恩赦をめぐる行政文書など新たな手がかりを読み解き、実際に何が起きていたのか、多くの犯罪者が罪に問われなかったのはなぜか、虐殺はなぜ忘却されたのかを徹底追及。人間の行動の深層にあるものを冷静に問い続けるジャーナリストによる関東大震災研究の集大成。

目次

はじめに

第一章 埼玉で何があったのか
「熊谷連隊区司令部歴史」/「行動の大要」/鮮人悉く殺さる/「戒厳軍の制圧下」/『かくされていた歴史』/熊谷での虐殺/神保原での虐殺/本庄での虐殺/功績ありたる者/激しかった混乱/「未教育」の在郷軍人/加害者の姿/自弁だった軍服/直面していた課題/慌ただしく作られた報告書

第二章 横浜で何があったのか
『それは丘の上から始まった』/近郷隈なく暴状を呈し/統率者なき烏合の衆/見えない実態/小学生の作文/孤立した環境/「宜しく遣れ」/戒厳部隊司令官の自伝/「殺してもいいという意識」/横浜管轄の連隊区司令部

第三章 神奈川県知事の報告書
「鮮高秘収第二二号」/ソウルでの調査/確認できた赤い点/判明した疑問/印影の正体/内務省警保局の職員名簿/独学で首席合格/分類番号

第四章 練習艦磐手の傍受記録
横須賀鎮守府文庫/世界へ向けて発信/帰国の航海/九月一日/九月二日/食糧確保をめぐる視点/九月三日/九月四日/百年前の通信事情/東京の検事正の発言

第五章 東京で何があったのか
「兵器を使用せる事件調査表」/九月一日/九月二日/九月三日/九月四日/九月五日/九月六日/多かった江東方面/軍隊の動きの分析/戒厳令の実態/『帝都復興秘録』/枢密顧問官・伊東巳代治/引用された水野内相の発言/在郷軍人会麻布支部の資料/神奈川警備隊法務部の日誌/「軍事戒厳」と「行政戒厳」/軍隊の内部事情/市民が掘り起こした証言/新聞記事が伝える虐殺/二つの印鑑が捺されたチラシ/『関東大震災の治安回顧』/流言の発生と伝播/世田谷警察署長の報告書/仙台の河北新報/方針の急転回/思想検事・吉河光貞の見解/「偶成された異質的群衆」の特徴/「下層細民」/教育程度の統計

第六章 「不逞鮮人」の正体
流言はなぜ信じられたのか/「不逞鮮人」の登場/尼港事件/「敵を討て下さい」/「尼港唱歌」の募集/『国辱記』/八点の入選作/琿春事件/首相原敬の暗殺/思想検事が検討した「不逞鮮人」の来歴/安芸少将/「潮のように流れ込む」

第七章 忘却のメカニズム
関東自警同盟/『埼玉県自警団事件経過真相』/中国人の虐殺/国会での質疑/「公文別録」/「恩赦制度に関する資料」/特赦と減刑の違い/「極秘」の筆文字/花押のある付箋/一月六日の決定/もう一枚の付箋/法務省保護局のファイル/もう一つの勅令/松野博一議員の質問/通説の原型/姜徳相コレクションの謎/「鮮高秘収第二二号」の意味すること/二冊の『関東大震災』/新たな視点を求めて

おわりに
参考文献

著作者プロフィール

渡辺延志

( わたなべ・のぶゆき )

1955年生まれ。ジャーナリスト。2018年まで朝日新聞社に記者として勤務し、青森市の三内丸山遺跡の出現、中国・西安における遣唐使の墓誌の発見、千葉市の加曽利貝塚の再評価などの報道を手がけた。著書に『歴史認識 日韓の溝』(ちくま新書、第27回平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞)、『関東大震災「虐殺否定」の真相』(ちくま新書)、『虚妄の三国同盟』(岩波書店)、『軍事機密費――GHQ特命捜査ファイル』(岩波書店)、『神奈川の記憶』(有隣新書)など。

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