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筑摩選書

戦争に抵抗した野球ファン

——知られざる銃後の職業野球

日常が紡ぐ、もう一つの戦争史

戦争の影が日常を覆うなか、ファンたちは何を思い野球場へと向かったのか? 戦争の悲惨さに様々な形で立ち向かった人々の姿を描き出す「もう一つの戦争史」。

定価

1,980

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01829-8

Cコード

0375

整理番号

0310

2025/08/07

判型

四六判

ページ数

240

解説

内容紹介

延長28回でも帰らない客、野球狂の大臣
徴兵される選手たち、要塞になった野球場――

===
日中戦争から太平洋戦争へと戦線が拡大し、すべてが戦争に奉仕させられる時代にも、野球場には、戦争から背を向けるように声援をおくる名もなき野球ファンたちがいた。彼らは一体何を思い、そこに何を観たのか? プロ野球創成期をノンフィクションという形で切り取り、戦争の悲惨さを語り続けてきた著者が、戦後80年を機に、これまで語られてこなかった市井の野球ファンたちの姿に焦点を当て、戦時下の野球文化を描く。

目次

第1章 魅了された人々
二〇〇〇人からの出発/時代を読んだ文士/目覚めた野球ファン/「お尋ね」欄への投稿/野球場の建設ラッシュ/先進的な女性たち/婦人デーの試み/下町の応援団/宮様の訪問

第2章 襲いかかる戦火
野球狂大臣/帝大医師の初観戦/事変勃発で入場料が戦車に/前代未聞の球団経営/宣伝巡業の旅/軍の広告塔/白衣の勇士たちの入場/かわりゆく球場の背景/スコアボードの広告/新たな客層の開拓

第3章 強まる戦時統制
帰ってきたエース/苦悩のピッチング/ぜいたくは敵だ/新体制運動の余波/日本語化の是非/人格否定の改名/チーム名まで/日系人選手たちの選択/憲兵に追われて/スパイ摘発/危険人物/常連の経済学者/特高の監視下/東部司令部の防空計画/要塞になった野球場

第4章 密かな娯楽
開戦の日/喜びに酔いしれる人々/陸軍報道部による検閲/自発的決意への誘導/手榴弾投げの余興/軍服姿でグラウンドへ/空襲下の観戦/眉つばの戦果/飛ばないボール/延長二八回でも帰らない客/心無いヤジ/はびこる野球賭博/軍内にも汚染/八百長事件捕物帳/国際映画観賞会

第5章 反骨の人々
芸術検閲の実態/敵性語排除の研究/野球統制令の功罪/反東條の応援団長/投手失格/戦地にいる選手への想い/英雄戦死発表の日の来場者/それぞれのレジスタンス/徴兵逃れの危険な偽装工作/大学生選手/軍需工場を隠れ蓑に/軍務公用のアナウンス/怒りの声援/わずか一四人のチーム/最後を見届けた二〇〇〇人

著作者プロフィール

山際康之

( やまぎわ・やすゆき )

山際 康之(やまぎわ・やすゆき):1960年生まれ。桑沢学園理事長・東京造形大学前学長。東京大学博士(工学)取得。ソニー入社後、ウォークマン等の開発を経て、環境グローバルヘッドオフィス部門部長を担当。エコデザイン関連の研究書籍に、『分解デザイン工学』(東京大学出版会)等がある。またノンフィクション作家として、『プロ野球選手の戦争史』『兵隊になった沢村栄治』(ちくま新書)、『プロ野球VS.オリンピック』(筑摩選書)、『プロ野球オーナーたちの日米開戦』(文藝春秋)等の著書があり、『広告を着た野球選手』(河出書房新社)ではミズノスポーツライター賞を受賞している。

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