第1章 魅了された人々
二〇〇〇人からの出発/時代を読んだ文士/目覚めた野球ファン/「お尋ね」欄への投稿/野球場の建設ラッシュ/先進的な女性たち/婦人デーの試み/下町の応援団/宮様の訪問
第2章 襲いかかる戦火
野球狂大臣/帝大医師の初観戦/事変勃発で入場料が戦車に/前代未聞の球団経営/宣伝巡業の旅/軍の広告塔/白衣の勇士たちの入場/かわりゆく球場の背景/スコアボードの広告/新たな客層の開拓
第3章 強まる戦時統制
帰ってきたエース/苦悩のピッチング/ぜいたくは敵だ/新体制運動の余波/日本語化の是非/人格否定の改名/チーム名まで/日系人選手たちの選択/憲兵に追われて/スパイ摘発/危険人物/常連の経済学者/特高の監視下/東部司令部の防空計画/要塞になった野球場
第4章 密かな娯楽
開戦の日/喜びに酔いしれる人々/陸軍報道部による検閲/自発的決意への誘導/手榴弾投げの余興/軍服姿でグラウンドへ/空襲下の観戦/眉つばの戦果/飛ばないボール/延長二八回でも帰らない客/心無いヤジ/はびこる野球賭博/軍内にも汚染/八百長事件捕物帳/国際映画観賞会
第5章 反骨の人々
芸術検閲の実態/敵性語排除の研究/野球統制令の功罪/反東條の応援団長/投手失格/戦地にいる選手への想い/英雄戦死発表の日の来場者/それぞれのレジスタンス/徴兵逃れの危険な偽装工作/大学生選手/軍需工場を隠れ蓑に/軍務公用のアナウンス/怒りの声援/わずか一四人のチーム/最後を見届けた二〇〇〇人