藤井淑禎
( ふじい・ひでただ )藤井 淑禎(ふじい・ひでただ):1950年生まれ。立教大学名誉教授。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は近現代日本文学・文化。著書『「東京文学散歩」を歩く』(ちくま新書)、『乱歩とモダン東京』(筑摩選書)、『純愛の精神誌』(新潮選書)、『清張 闘う作家』(ミネルヴァ書房)、『漱石文学全注釈――こころ』(若草書房)、『名作がくれた勇気』(平凡社)など。
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ほぼ同時代を生きた松本清張と水上勉には、意外にも共通点が多い。最大の共通性は雑食性。ともに社会派ミステリ作家として出発するもミステリ以外にも手をつけ、清張は小説・ノンフィクションの二刀流を展開し『昭和史発掘』『古代史疑』など歴史評論にも進出、水上勉も『寺泊』で川端康成文学賞を受賞した私小説路線と並行して、寂れゆく辺境や滅びゆく伝統工芸のルポルタージュ、一休や良寛といった高僧の評伝に新境地を切り開いた。好一対だった大作家の歩みと名作を読み解く。
序 章 清張と勉――その軌跡
第1章 文壇作家時代の松本清張
第2章 初期水上勉は私小説家だったのか
第3章 清張の乱歩批判
第4章 『天城越え』は『伊豆の踊子』をどう超えたか
第5章 清張の江藤淳批判
第6章 映画「砂の器」は小説をどう補修したか
第7章 『点と線』から『日本の黒い霧』へ
第8章 推理小説家時代の水上勉
第9章 日本型私小説を究める――その後の水上勉
第10章 国民的文化人・松本清張――『読書世論調査』の結果から
第11章 言葉を超えた世界へ・水上勉――『才市』の奇跡
あとがき
松本清張・水上勉年譜
人名索引
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