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筑摩選書

議会制民主主義という神話

——イギリス近代史の真実

ディズレーリvs.グラッドストン 「奇蹟の10年間」に大衆民主政治の原点を探る

議会制民主主義のモデルとされるイギリス議会政治は本当はいかにして成立したのか。グラッドストンとディズレーリの「奇蹟の十年間」に英国近代史の真実を探る。

定価

2,090

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01839-7

Cコード

0331

整理番号

0320

2025/12/15

判型

四六判

ページ数

288

解説

内容紹介

「議会制の母国」といわれるイギリスにおいてすら、議会は民主主義を実現するために形成されたものではない。成り立ちの異なる議会と民主主義の相性は悪く、今日その破綻が指摘されている。では本来イギリス議会政治とはどのようなものか。その転換点となったディズレーリvs.グラッドストンによる「奇蹟の10年間」(1866-76年)にイギリス政治は、貴族政治から、労働者階級までを取り込んだ大衆民主政治へと転換を遂げた。この原点からイギリス議会政治の本質を捉え直す。

目次

はじめに

序章 議会制民主主義という神話

第一章 自由主義のためのイギリス議会(前史)
1 マグナ・カルタの真実──自由人たちへの保障
2 議会主権の確立──王がジェントルマンの自由を保障する時代へ
3 貴族政治と改革の時代──ジェントルマンが国民に自由を保障する時代へ

第二章 議会政治の転換期 第一幕──ジェントルマンと大衆
1 ジェントルマンが支配し続ける庶民院
2 大衆の政治参加へ

第三章 議会政治の転換期 第二幕──保守党と自由党
1 保守党のあゆみ──大分裂から統合へ
2 自由党のあゆみ──政党の修辞化と組織化

第四章 議会政治の転換期 第三幕──ディズレーリとグラッドストン
1 ディズレーリのあゆみ──脂まみれのポールをよじ登った男
2 グラッドストンのあゆみ──大衆の英雄へ
3 「奇蹟の一〇年間」──ディズレーリとグラッドストンの対峙
4 その後のふたり──大衆の時代の予兆
5 トーリ・デモクラシーとグラッドストン自由主義──その真実

第五章 大衆民主政治の到来と議会政治の衰退
1 政党の大衆化と世論の形成
2 議会政治と国民との乖離──ブレグジットへの道

終章 議会政治に再生はあるのか

おわりに

著作者プロフィール

君塚直隆

( きみづか・なおたか )

君塚 直隆(きみづか・なおたか):1967年、東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。現在、駒澤大学法学部教授。著書に『ヨーロッパ近代史』(ちくま新書)、『君主制とはなんだろうか』(ちくまプリマー新書)、『女王陛下の影法師』(ちくま学芸文庫)、『立憲君主制の現在』(新潮選書)など多数。

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