君塚直隆
( きみづか・なおたか )君塚 直隆(きみづか・なおたか):1967年、東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。現在、駒澤大学法学部教授。著書に『ヨーロッパ近代史』(ちくま新書)、『君主制とはなんだろうか』(ちくまプリマー新書)、『女王陛下の影法師』(ちくま学芸文庫)、『立憲君主制の現在』(新潮選書)など多数。
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「議会制の母国」といわれるイギリスにおいてすら、議会は民主主義を実現するために形成されたものではない。成り立ちの異なる議会と民主主義の相性は悪く、今日その破綻が指摘されている。では本来イギリス議会政治とはどのようなものか。その転換点となったディズレーリvs.グラッドストンによる「奇蹟の10年間」(1866-76年)にイギリス政治は、貴族政治から、労働者階級までを取り込んだ大衆民主政治へと転換を遂げた。この原点からイギリス議会政治の本質を捉え直す。
はじめに
序章 議会制民主主義という神話
第一章 自由主義のためのイギリス議会(前史)
1 マグナ・カルタの真実──自由人たちへの保障
2 議会主権の確立──王がジェントルマンの自由を保障する時代へ
3 貴族政治と改革の時代──ジェントルマンが国民に自由を保障する時代へ
第二章 議会政治の転換期 第一幕──ジェントルマンと大衆
1 ジェントルマンが支配し続ける庶民院
2 大衆の政治参加へ
第三章 議会政治の転換期 第二幕──保守党と自由党
1 保守党のあゆみ──大分裂から統合へ
2 自由党のあゆみ──政党の修辞化と組織化
第四章 議会政治の転換期 第三幕──ディズレーリとグラッドストン
1 ディズレーリのあゆみ──脂まみれのポールをよじ登った男
2 グラッドストンのあゆみ──大衆の英雄へ
3 「奇蹟の一〇年間」──ディズレーリとグラッドストンの対峙
4 その後のふたり──大衆の時代の予兆
5 トーリ・デモクラシーとグラッドストン自由主義──その真実
第五章 大衆民主政治の到来と議会政治の衰退
1 政党の大衆化と世論の形成
2 議会政治と国民との乖離──ブレグジットへの道
終章 議会政治に再生はあるのか
おわりに