吉本隆明
( よしもと・たかあき )1924-2012年。東京生まれ。東京工業大学電気化学科卒業。詩人・評論家。戦後日本の言論界を長きにわたりリードし、「戦後最大の思想家」「思想界の巨人」などと称される。おもな著書に『言語にとって美とはなにか』『共同幻想論』『心的現象論』『マス・イメージ論』『ハイ・イメージ論』『宮沢賢治』『夏目漱石を読む』『最後の親鸞』『アフリカ的段階について』『背景の記憶』などがある。
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中世期最大の詩人のひとりであり、学問と識見とで当代に数すくない実朝の心を訪れているのは、まるで支えのない奈落のうえに、一枚の布をおいて坐っているような境涯への覚醒であった。本書は、中世初期の特異な武家社会の統領の位置にすえられて、少年のうちからいやおうなくじぶんの〈死〉の瞬間をおもい描かねばならなかった実朝の詩的思想をあきらかにした傑作批評。
1 実朝的なもの
2 制度としての実朝
3 頼家という鏡
4 祭祀の長者
5 実朝の不可解さ
6 実朝伝説
7 実朝における古歌
8 〈古今的〉なもの
9 『古今集』以後
10 〈新古今的〉なもの
11 〈事実〉の思想
実朝における古歌 補遣
実朝年譜
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