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ちくま学芸文庫

マニエリスム芸術論

カトリック的世界像と封建体制の崩壊により、観念の転換を迫られた一六世紀。不穏な時代のイメージの創造と享受の意味をさぐる刺激的芸術論。

定価

1,760

(10%税込)
ISBN

978-4-480-08171-1

Cコード

0171

整理番号

-4-1

1994/12/07

判型

文庫判

ページ数

544

解説

内容紹介

マニエリスムとは何か。それは危機の時代の文化である。世界調和と秩序の理念が支配した15世紀は、黄金のルネサンスを生み出した。だが、その根本を支えてきたキリスト教的世界像が崩れ、古き中世が解体する16世紀は、秩序と均衡の美学を喪失する。不安と葛藤と矛盾の中で16世紀人は「危機の芸術様式」を創造する。古典主義的価値をもつ美術史により退廃と衰退のレッテルを貼られてきたこの時代の芸術の創造に光を当て、現代におけるマニエリスムの復権を試みた先駆的な書。

目次

序章 寓意の勝利
第1章 「愛」の寓意について(新プラトン主義の愛の理論
新プラトン主義的「愛」の二つの形式
ブロンズィーノの「愛の寓意」
「愛」を滅ぼす「時」
「時」と「永遠」)
第2章 プシコマキア―内面の葛藤(美徳と悪徳のたたかい
十六世紀の人体比例論
囚われた体
歪んだ鏡
ずれた消失点)
第3章 マニエリストの宇宙(火と水と土と空気の織りなす世界
ミクロコスモス
大地と空の夢想
水と火の想像力)
終章 万物の変貌

著作者プロフィール

若桑みどり

( わかくわ・みどり )

1935-2007年。東京芸術大学美術学部芸術学専攻科卒業。1961-63年、イタリア政府給費留学生としてローマ大学に留学。専門は西洋美術史、表象文化論、ジェンダー文化論。千葉大学名誉教授。『全集 美術のなかの裸婦寓意と象徴の女性像』を中心とした業績でサントリー学芸賞、『薔薇のイコノロジー』で芸術選奨文部大臣賞、イタリア共和国カヴァリエレ賞、天正遣欧少年使節を描いた『クアトロ・ラガッツィ』で大佛次郎賞。著書に『戦争がつくる女性像』『イメージを読む』『絵画を読む』『象徴としての女性像』『お姫様とジェンダー』『聖母像の到来』など多数。

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