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ちくま学芸文庫

明かしえぬ共同体

G・バタイユが孤独な内的体験のうちに失うという形で見出した〈共同体〉。そして、M・デュラスが描いた奇妙な男女の不可能な愛の〈共同体〉。

定価

1,320

(10%税込)
ISBN

978-4-480-08351-7

Cコード

0110

整理番号

-10-1

1997/06/10

判型

文庫判

ページ数

256

解説

内容紹介

共産主義を鼓舞しながら、その裏切りや挫折のうちに潰えていったものは何だったのか?今世紀を貫く政治的文学的体験における「共同体」をめぐる思考を根底から問い直し、「共に存在する」ことの裸形の相に肉薄する。それはいっさいの社会的関係の外でこそ生きられる出来事であり、そこで分かち合われるのは逆説的にも複数の生の「絶対的分離」である。ハイデガーの「共存在」を換骨奪胎し、バタイユの共同体の試みやデュラスの愛の作品、そして「六八年五月」の意味を問いながら、「共同体の企て」やその政治化の厄々しい倒錯を照らし出し、「共同体

目次

1 否定的共同体
2 恋人たちの共同体
訳註
ブランショと共同体―あとがきに代えて
付録(遺産なき共産主義
ビラ・ステッカー・パンフレット)

著作者プロフィール

モーリス・ブランショ

( ぶらんしょ,もーりす )

1907年─2003年。20世紀フランス最大の作家・批評家。両大戦間期、非順応的な右派の若手の論客として知られる。その傍ら小説を書き始め、戦中には思想的立場を転換し、レヴィナス、バタイユらと親交を深めながら、文学のみならず哲学・思想にも関わる評論を書くようになる。戦後は創作とともに、文学・芸術の根本的、本質的諸問題に関わる評論を数多く発表。また、アルジェリア独立戦争および68年5月「革命」に際しては、鋭く体制を批判する発言と活動を行い、その後も拒否の精神を示し続けた。小説作品に『謎の男トマ』『死の宣告』『望みのときに』『私の死の瞬間』、評論に『踏み外し』『文学空間』『来るべき書物』『終わりなき対話』『友愛』『明かしえぬ共同体』など、いずれも現代文学・現代思想を語る際に欠かせない著作を遺した。

西谷修

( にしたに・おさむ )

1950年愛知県生まれ。東京大学法学部、東京都立大学大学院、パリ第8大学などで学ぶ。フランス思想、とくにバタイユ、ブランショ、レヴィナス、ルジャンドルらを研究。明治学院大学教授、東京外国語大学大学院教授等を経て現在立教大学大学院特任教授。著書に『不死のワンダーランド』(増補新版、青土社)、『戦争論』(講談社学術文庫)、『世界史の臨界』(岩波書店)、『理性の探求』(同)など、訳書にブランショ『明かしえぬ共同体』(ちくま学芸文庫)、レヴィナス『実存から実存者へ』(同)、バタイユ『非‐知』(平凡社ライブラリー)などがある。

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