ちくま学芸文庫
悪文の構造
─機能的な文章とは
千早耿一郎
著
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時は幕末、外神田のお成道に、筵いっぱいに古本を並べて商う一人の老爺があった。この男、“御記?^本屋”藤岡屋由蔵、日がな一日、素麺箱を机に黄半紙に禿筆でなにごとかを書き付け、吹きつける砂塵のなかで悠然として筆を休めることがない。―この集積が『藤岡屋日記』である。小説をはじめさまざまな著作の種本ともなった珍談・奇談の宝庫であり、世相・風俗・政治情報の貴重な記録だが、あまりに浩澣すぎて、また雑多すぎて、敷居が高い。そこで一般の読者のために、おもしろい話を選んで編んだのが本書。世相の鏡、小説より奇な『藤岡屋日記』の世界へようこそ。
稲荷信仰興廃の事
太郎稲荷の事
狂言神楽の事
律儀者、泥棒となる事
め組の喧嘩評判の事
鬼坊主清吉の事
女天一坊一件
永代橋崩壊の落書
火元争い
けし坊主、母親となる事〔ほか〕
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