村田全
( むらた・たもつ )1924‐2008年、神戸市生まれ。北海道大学数学科卒業。立教大学教授、桃山学院大学教授などを歴任。その間、フランス国立科学センター研究員なども歴任。立教大学名誉教授。専攻、数学思想史。文学博士。著書に『数学史』(共著、筑摩書房)、『数学史の世界』(玉川大学出版部)、訳書にブルバキ『数学史』(共訳、東京図書、ちくま学芸文庫)、ボホナー『科学史における数学』(みすず書房)、サボー『ギリシア数学の始原』(共訳、玉川大学出版部)などがある。
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「和算は専門ではないが必要ならそのうち紹介したい。そしてわれわれには見えぬ和算の側面を教えていただきたい」「そのお礼に、できればヨーロッパ数学の中で、みなさんに見えぬ側面を教えてさしあげたい。いずれにしても、自分の背中は見えぬものだから」パリでの学会発表における著者の結びのスピーチはたいそう受けたという。本書では二つの数学を歴史的にたどりつつ、円周率などをめぐる関孝和、建部賢弘、オイラー、ウォリスなどの原典を読み解き、そこに思想的文化的基盤の差異を洞察する。と同時に、洋の東西を問わない発見の喜びも透かし見えてくる。学問としての比較数学史をめざした定評の書。
1章 課題と展望(数学の何をどう比べるか
円周率をめぐる歴史の概要 ほか)
2章 西洋数学の源流(『原論』以前のギリシア数学
ユークリッドの『原論』 ほか)
3章 和算の形成とその性格(平安時代までの日本の数学
和算の源流―シナ数学の伝統 ほか)
4章 近世ヨーロッパの数学(西洋中世の意義―西洋近世数学の思想的背景
記号代数学への道 ほか)
5章 比較数学史について
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