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ちくま学芸文庫

敗戦後論

左も右も、この本に苛立った―― 戦後問題の基本書

なぜ今も「戦後」は終わらないのか。敗戦がもたらした「ねじれ」を、どう克服すべきなのか。戦後問題の核心を問い抜いた基本書。

定価

1,430

(10%税込)
ISBN

978-4-480-09682-1

Cコード

0136

整理番号

-38-1

2015/07/08

判型

文庫判

ページ数

384

解説

内容紹介

戦後の日本人は、なぜ先の大戦の死者をうまく弔えないのか。なにゆえ今も、アジアへの謝罪をきちんと済ませられないのか。なぜ私たちは、占領軍に押しつけられた憲法を「よい憲法」だと感じるのか。このような敗戦の「ねじれ」の前に、いま、立ちどまろう。そうでなければけっしてその先には行けない―。新しい大戦の死者の弔い方、憲法の「選び直し」など、ラディカルな問題提起により大論争を巻き起こした本書は、そこでの警告がことごとく現実となったいま、喫緊の戦後問題を考える上で不可欠の一冊となった。内田樹・伊東祐吏の両氏による充実の解説2本を付し、ここに再刊する。

目次

敗戦後論
1 戦後の起源
極東の敗戦国にて/湾岸戦争関連文献/原点の汚れ
2 ねじれと隠蔽
初期の挿話/『世界』の宮廷革命/「戦後文学」vs「無頼派」
3 分裂の諸相
ジキル氏とハイド氏/二様の死者
4 よごれ―大岡昇平を想起する
一九六一年の転換/よごれしょぼたれた日の丸/一九七一年の選択

戦後後論
1 太宰治と戦後
政治と文学/芸術的抵抗への抵抗/坂口・石川vs太宰/「薄明」
2 文学とは何か
思想としての文学/誤りうるものの意味の根源/盲目と全円/「内在」と「超越」
3 戦後以後
「ノン・モラル」の感触/太宰vsJ・D・サリンジャー/意識と、身体的なもの/正しいことと誤りうること/不可疑性と可誤性

語り口の問題
ハンナ・アーレント/素描―戦後の歪み/『イェルサレムのアイヒマン』/共同性と公共性―ショーレムとアーレントの論争/「語り口」とは何か/私の領域/共同性を破るもの

あとがき
ちくま文庫版あとがき
ちくま学芸文庫版によせて

卑しい街の騎士(内田樹)
一九九五年という時代と「敗戦後論」(伊東祐吏)

著作者プロフィール

加藤典洋

( かとう・のりひろ )

1948年、山形県生まれ。文芸評論家。早稲田大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒業。著書に『敗戦後論』(ちくま学芸文庫、伊藤整文学賞受賞)、『言語表現法講義』(岩波書店、新潮学芸賞受賞)、『小説の未来』『テクストから遠く離れて』(朝日新聞社/講談社、両著で桑原武夫学芸賞受賞)、『アメリカの影』『日本風景論』(講談社文芸文庫)、『日本の無思想』(平凡社新書)、『さようなら、ゴジラたち』『3.11 死に神に突き飛ばされる』(岩波書店)、『人類が永遠に続くのではないとしたら』(新潮社)など多数。

メディア情報

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