中野美代子
( なかの・みよこ )1933年北海道札幌市生まれ。北海道大学文学部中国文学科卒業。北海道大学文学部、言語文化部教授を経て、現在同大学名誉教授。中国文化史家。作家。評論:『砂漠に埋もれた文字―パスパ文字の話』、『孫悟空の誕生―サルの民話学と「西遊記」』、『仙界とポルノグラフィー』、『龍の住むランドスケープ―中国人の空間デザイン』、『乾隆帝―その政治の図像学』。創作:『契丹伝奇集』、『カスティリオーネの庭』。翻訳:『西遊記』(新訳・改版全10巻)。他多数。
loading...
カニバリズム(人肉嗜食)は人類の根源的タブーのように思われながら、実のところその痕跡は古来より無数に残されてきた。著者の専門は中国でありながら、古今東西の記録・小説を博捜し、ときに舌鋒鋭く、ときに諧謔と皮肉をもってカニバリズムを縦横無尽に論じる。人間の薄っぺらな皮膚を両手で思い切りめくり上げ、曝し、目を背けたくなるようなものを直視することで、「近代合理主義精神」なるものの虚?\を暴き、「良識」を高らかに嗤いとばす。人肉嗜食、纏足、宦官…。血の滴るテーマで人間の真実に迫る異色の作品。
1(カニバリズム論―その文学的系譜
迷宮としての人間―革命・悪・エロス
“食”の逆説―開高健氏「最後の晩餐」をめぐって
中国人における血の観念)
2(魔術における中国―仏陀とユートピア
中国残酷物語―マゾヒズムの文化史
虚構と遊戯―中国人の性格について)
3(王国維とその死について―一つの三島由紀夫論のために
恐怖の本質―アンドレーエフ「血笑記」と魯迅「狂人日記」)
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。