高橋伸夫
( たかはし・のぶお )1957年北海道生まれ。1980年小樽商科大学商学部卒業。1984年筑波大学大学院社会工学研究科単位取得。学術博士(筑波大学)。現在、東京大学大学院経済学研究科教授。専門は経営学・経営組織論。主な著書に『組織力』(ちくま新書)、『虚妄の成果主義』(ちくま文庫)、『〈育てる経営〉の戦略』(講談社選書メチエ)、『できる社員は「やり過ごす」』(日経ビジネス人文庫、文春ウェブ文庫)、『経営の再生』(有斐閣)、『日本企業の意思決定原理」(東京大学出版会)などがある。
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長引く不況によって、なぜか日本型人事システムが攻撃され、「年俸制」や「成果主義」が新たな活力を与えるとして競って導入された。しかしその結果、多くの企業で職場が荒廃し、機能不全が生じている。そもそも日本の経済成長を支えたのは「賃金による動機づけ」ではなく、仕事の面白さで報いる「仕事の報酬は次の仕事」というシステムであり、それが適材適所につながったのである。成果主義の実態を改めて検証し、日本型年功制の可能性を展望する。
第1章 日本型年功制のどこが悪いというのか(成果主義の赤裸々な実像
日本型の「年功制」とは
人は金のみに働くにあらず
元気に働くための要素
成長を選択するために)
第2章 日本的経営の評価をめぐる右往左往(けじめはつけておかねばならない
いい加減に懲りるべきではないか?
日本的経営論の系譜を辿ってみよう
やがて付けが回ってくる)
第3章 人が働く理由を知っていますか?(仕事への思いを解剖する
自発性は信用しうるか
満足と生産性の関係の二転三転
期待理論の登場とその限界
内発的動機づけの理論)
第4章 未来の持つ力を引き出す(今何が本当に必要なのだろう
「見通し」が与える活力
終身コミットメントの意義
未来傾斜原理をめぐって
揺らぐトップが会社をダメにする)
文庫版への補論 成果主義ブームが去って(そして看板だけが残った
成果主義は論理的に破綻していた
「仕事の報酬は次の仕事」の四つの意味
若者と向き合おう)
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