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ちくま文庫

傷を愛せるか 増補新版

どれほど医療が進んでも、傷ついた心を癒す薬はない。悲痛に満ちた被害者の回復には何が必要か。臨床医による深く沁みとおるエッセイ。解説 天童荒太

定価

792

(10%税込)
ISBN

978-4-480-43816-4

Cコード

0111

整理番号

-37-1

2022/09/08

判型

文庫判

ページ数

256

解説

内容紹介

たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること──。バリ島の寺院で、ブエノスアイレスの郊外で、冬の金沢で。旅のなかで思索をめぐらせた、トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。解説 天童荒太

目次

1 内なる海、内なる空(なにもできなくても
○(エン)=縁なるもの ほか)
2 クロスする感性―米国滞在記+α 二〇〇七‐二〇〇八(開くこと、閉じること
競争と幸せ ほか)
3 記憶の淵から(父と蛇
母が人質になったこと ほか)
4 傷のある風景(傷を愛せるか)

著作者プロフィール

宮地尚子

( みやじ・なおこ )

一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻・教授。精神科医師、医学博士。1986年京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。1989年から1992年、ハーバード大学医学部社会医学教室に客員研究員として留学。主な著書に『トラウマ』(岩波新書)、『トラウマ医療人類学』(みすず書房)がある。

メディア情報

スペシャルコンテンツ

推薦コメント

寄せられたコメント

すごく、すごく良い本。 やさしい言葉で、散文詩のようなテンポで、さまざまな「傷」が書かれていく。 このタイトルに少しでも心動かされた人は、ぜひ手にとってみてください。
──

滋賀県立美術館ディレクター

保坂健二朗

さん
なんでもいいからおすすめの本をと訊かれたらこれをすすめる。
──

古本屋 百年

さん

この本への感想

大なり小なり誰もが傷を抱えて生きるいま、私たちは傷を愛せるか。透き通った瑕疵のない美しさが持て囃されるいま、ひきつれや瘢痕を抱え、包むのは簡単ではない。苦しさから掻きむしれば血は滲み、手当てをする暇もなく、好奇の目に晒されるのが怖くてコンシーラーとファンデで厚塗りをする。
傷を負った自分を恥じずに、傷と共に生きられるようになりたい。私が私の傷を一番に愛せるようでありたい。

さん
update: 2022/09/19

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