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ちくま学芸文庫

重力と力学的世界 下

——古典としての古典力学

西欧近代において、古典力学はいかなる世界を発見し、いかなる世界像を作り出し、そして何を切り捨ててきたのか。歴史形象としての古典力学。

定価

1,320

(10%税込)
ISBN

978-4-480-51034-1

Cコード

0142

整理番号

-18-5

2021/03/10

判型

文庫判

ページ数

336

解説

内容紹介

古典力学と古典重力論のもとづく天体力学は、西洋近代科学の中でも最も成功したものである。その始祖にあたるニュートンにとって〈重力〉とは、まだ「宇宙に偏在する神の支配と摂理の顕現」で、神学に包括されてはじめて完結し得るものであった。その後フランス啓蒙主義の、〈数理原理〉を独立させる捉え直しがあって、「ニュートンの力学」は「ニュートン力学」として了解され認知されるにいたった。この〈重力〉を関係概念・関数概念と位置付ける転換こそが、普遍必然的に自己完結した自然認識としての力学という力学的世界観が形成されていくことになる。まさにこの時、科学の真理性の限定と守備範囲の縮小が推進され、科学の意味を根底的に変化せしめる契機となった。
本書は,山本義隆氏の『磁力と重力の発見』や最近の『少数と対数の発見』へと続く一連の科学史モノの原点にあたる著作である。下巻は、「地球の形状と運動」から
「ケルヴィン卿の悲劇」を収める。また、巻末に詳細な著者解説を収録予定。

目次

第10章 地球の形状と運動
第11章 力学的世界像の勃興
第12章 ラグランジュの『解析力学』
第13章 太陽系の安定の力学的証明
第14章 力学的世界像の形成と頓挫
第15章 ケルヴィン卿の悲劇

著作者プロフィール

山本義隆

( やまもと・よしたか )

山本 義隆(やまもと・よしたか):1941年、大阪府生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。同大学院博士課程中退。科学史家、駿台予備学校物理科講師、元東大闘争全学共闘会議代表。著書に、『重力と力学的世界』、『熱学思想の史的展開』、『古典力学の形成』、『磁力と重力の発見』、『一六世紀文化革命』、『世界の見方の転換』、『小数と対数の発見』、『解析力学Ⅰ・Ⅱ』(共著)、『幾何光学の正準理論』、『近代日本一五〇年』、『私の1960年代』、『核燃料サイクルという迷宮』ほか多数。訳書に、カッシーラー『実体概念と関数概念』、ニールス・ボーア『因果性と相補性』『量子力学の誕生』などがある。

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