L.D.レノルズ
( れのるず,L.D. )L.D.レノルズ(Leighton Durham Reynolds):1930-99年。オクスフォード大学名誉教授。
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ギリシア語とラテン語の古典はいかにして現在の形を取るに至ったのか。古代から現代まで、文献保存のプロセスを概説する。原書第四版に基づき改訳。
1,980
円978-4-480-51183-6
0190
-8-1
2025/06/10
文庫判
624
頁われわれが親しむギリシアとローマの古典は、現在の形を取るまでに紆余曲折を経てきた。書写された複数の本から原典を正確に復元し、保存すること、そして伝承すること。本書はその営為の過程を追う。古代における書籍取引の実態から始まり、巻子本から冊子本への変化、カロリング時代に増加する本の生産、書体の発展、ルネサンスの校訂学など、興趣に富んだ説明がなされる。テクストの存続には物質的要件に加え、時代ごとの学問や教育態勢も大きく与っていた。文献保存に注いだ人々の情熱を伝える名著。文庫化に際しては、原著第四版を底本とした。
序 文
第一章 古 代
1 古代の本
2 ムーセイオンの図書館とヘレニズム時代の学問
3 ヘレニズム時代のその他の研究
4 共和政ローマの本と学問
5 帝政初期の発展
6 2世紀の擬古主義
7 概要と注釈書
8 巻子本から冊子本(コデツクス)へ
9 西ローマ帝国における四世紀の異教とキリスト教
10 奥書(おくがき)
第二章 東のギリシア語圏
1 帝政ローマの学問と文献
2 キリスト教会と古典研究
3 ビザンツ時代初期
4 オリエントにおけるギリシア語テクスト
5 九世紀の古典復興
6 ビザンツ時代後期
第三章 西のラテン語圏
1 暗黒時代
2 アイルランドとイングランド
3 アングロ・サクソン人の伝道師たち
4 ブリテン諸島が古典テクストに与えた影響
5 カロリング時代のリバイバル
6 カロリング風小文字体の発展
7 カロリング時代の図書館とラテン語の古典
8 カロリング時代の学問
9 カロリング文化の黄昏
10 モンテカッシーノ修道院の復興
11 12世紀ルネサンス
12 スコラ哲学の時代
13 中世の西ヨーロッパにおけるギリシア語
第四章 ルネサンス
1 人文主義
2 最初の人文主義者たち
3 人文主義の充実―ペトラルカとその世代
4 コルッチオ・サルターティ(1331-1406)
5 大いなる発見の時代―ポッジオ(1380-1459)
6 15世紀におけるラテン研究―ヴァラとポリツィアーノ
7 ギリシア語学―外交官と亡命者と書籍収集家
8 15世紀におけるギリシア研究―ベッサリオンとポリツィアーノ
9 ギリシア語テクストの最初の印刷本―アルドゥス・マヌティウスとマルコス・ムスロス
10 エラスムス(1469頃-1536)
第五章 ルネサンス以降
1 反宗教改革とルネサンス最盛期のイタリア
2 フランスにおける人文主義と学問の始まり
3 16-17世紀のネーデルラント
4 リチャード・ベントリー(1662-1742)―古典学と神学
5 古文書学の起源
6 ルネサンス以降に発見されたテクスト
7 エピローグ
第六章 テクスト批判
1 序
2 テクスト批判の理論の発展
3 校合の系統図理論
4 系統図法の限界
5 個々の写本の時期と価値
6 間接的伝承
7 他のいくつかの基本的原則
8 テクストの毀れ
9 伝承の流動的形態―技術書と大衆文学
10 テクスト批判資料(アパラトウス・クリテイクス)の約束事
11 結語
略語表
原 注
訳者あとがき
文庫版訳者あとがき
本書で引用・言及される古典作家・作品の邦訳
写本索引
人名・作品名索引
事項・地名索引
図版への注