第一章 密かに残した兵事書類
焼却命令に背いて/徴兵適齢届とは/戦争を知るための証として/徴兵検査への道/「皇国民タルノ自覚」/徹底した選別/所在不明者を捜せ/徴兵忌避と失踪/巨大な鉄の箍/現役兵、入営す
第二章 ある現役兵の戦場体験
昭和一七年の現役兵に告ぐ/出征の日/中国大陸の戦地で/現地で食糧を奪いながら/住民を捕まえて「苦力」に/命だけあったらいいと
第三章 赤紙を配る、赤紙が来る
兵隊に取られる/召集と動員/召集の仕組み/真夜中に来る赤紙/動員の克明な記録/赤紙を配る使者/上海事変での召集/「召集令状受領証」に残された文字/ある少尉の自刃/捕虜になった身を自ら責めて/美化された軍人の自決/一枚の赤紙が運命を左右した
第四章 出征した兄弟たちの戦記
来るべきものが来た/「事変忘備録」の言葉/大曠野の行軍/「南京大虐殺はありました」/戦争そして帰還/弟たちの出征/フィリピン戦線へ/上陸作戦中に戦死す/生と死の狭間/バターン半島の死闘/マラリアに倒れて
第五章 誰をどのように召集したのか
「赤紙が来たんかねー」/出征する兄を見送って/兄が戦地から帰ってきた日/「村内巡視心得書」/赤紙が届いた家に目を光らせる/秘密だった召集の仕組み/在郷軍人の個人情報を収集/「在郷軍人所在不明者」の捜索/「在郷軍人身上申告票」/在郷軍人の職業・特有技能を把握/兵士の「身材」/各兵種に必要な特有技能/動員のための膨大な準備/戦時召集猶予者/陸軍動員計画令と召集猶予/国家総動員体制
第六章 兵事係と銃後
国防献金/銃後の護り/非常時の協力一致/出動部隊の歓送/地域ぐるみの行事/武運長久祈願祭/「満蒙ハ我ガ国防ノ生命線」/国民の戦争支持の熱意/戦地と銃後を結ぶ慰問袋/軍事援護事業/銃後奉公会と挙国一致/派遣軍人の家庭状況調査/防諜というスパイ対策/「スパイは汽車に井戸端に」/戦没者の村葬と戦死の現実/慰霊祭と靖国神社合祀/草の根の戦争支持
第七章 海軍志願兵
「海軍は君等を待っている」/志願兵募集に力を注ぐ/志願者数の割当/いかに志願兵を増やすか/割当員数を確保せよ/つくられた海軍志願兵/海軍と志願兵への憧れ/志願兵合格の日/辞世の歌を書いて/軍艦「長良」乗組員に/太平洋上の戦闘/「お母さーん、お母さーん」という声が/「巡洋艦長良交戦記録」/偽りの「大本営発表」/生き延びたことへの引け目/戦死した同級生たち
第八章 死者たちとともに
戦死の告知/「また仁平さんが来はった!」/兄弟それぞれの道/次々と赤紙が/「国民兵役編入者職業健康程度調査」/兵力の膨張/戦死の知らせ/赤紙配達の青年も戦場へ/戦地からの手紙/故郷と家族への思い/兄の戦死を信じられない/村の戦没者名簿
あとがきに代えて――白骨街道と赤紙/文庫版あとがき/解説(吉田裕)/主要参考資料