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ちくま学芸文庫

自由は進化する

「自由意志」はたしかにある!

自由意志は確かに存在する、でもそれは、生物として進化する過程で生まれてきたものだ――。哲学上の難問を自然主義の立場から解いた痛快な問題作。

定価

1,980

(10%税込)
ISBN

978-4-480-51326-7

Cコード

0110

整理番号

-12-2

2025/10/09

判型

文庫判

ページ数

608

解説

内容紹介

自由はちゃんと存在する。でもそれは、生物としての進化の過程で生まれてきたものだ──。人間の本質は〈魂〉にあるとする伝統的な発想が、説得力の弱いものになった現代。世界は決定論的に定まっているものではないのか、生物の行為は遺伝子やミームに操られているだけなのではないか等々、新たな反対意見を丁寧に検証しつつ、徹底した自然主義の立場から、自由意志の存在を導き出す。心の哲学の隆盛のなかにあってマイルストーンともなった一冊を、明快な訳者解説とともに文庫化。

目次

第1章 自然の自由
1 自分たちの正体を学ぶ
2 わたしはわたし
3 空気のようにあたりまえ
4 ダンボの魔法の羽根とポーリーナの災厄
第2章 決定論について考えるためのツール
1 単純化しすぎると役に立つ
2 コンウェイのライフゲーム世界における物理から設計へ
3 デウス・エクス・マキーナにたどりつけるだろうか?
4 ゆっくりした回避からスターウォーズまで
5 可避性の誕生
第3章  決定論について考える
1 可能世界
2 因果律
3 オースティンのパット
4 コンピュータ・チェス・マラソン
5 決定論的宇宙における原因のない事象
6 未来は過去に似るだろうか?
第4章 リバータリアニズムの言い分をきく
1 リバータリアニズムの魅力
2 とても必要なギャップはどこにおく?
3 ケインの非決定論的意志決定モデル
4 「自分を思いっきり小さくすれば、事実上すべてを外部化できる」
5 最初の哺乳動物にご用心
6 「自分次第」なんてあり得るの?
第5章 これほどの設計はどこからきたの?
1 始まり
2 囚人のジレンマ
3 多数で構成された統一体?
4 余談―遺伝的決定論の脅威
5 自由の程度と真実の追究
第6章 オープンな心の進化
1 文化的な共生が霊長類を人間にする
2 ダーウィン主義的説明の多様性
3 いいツールだけど、使わなきゃ始まらないよ
第7章 道徳的行為の進化
1 ベン利己主義
2 善良に見えたいから善良にふるまう
3 自分自身とどう対処するか
4 我らが高価な善行メダル
第8章 あなたはカヤの外ですか?
1 まちがった教訓を引き出す
2 その気になったらいつでも
3  書心術者の見方
4 自分だけの自己
第9章 自分で自分を自由へと引き上げる
1 合理性をつかまえて自分自身のものにする
2 心理エンジニアリングと合理性の軍拡競争
3 友達の助けをちょっと借りて
4 自律性、洗脳、教育
第10章 人の自由の未来
1 にじり寄る無罪宣告に対する一線を保つ
2 「罰してくれて目がさめたよ!」
3 人は望んだよりも自由すぎるだろうか?
4 人間の自由はもろいのだ
訳者解説
a 書誌的なデータ
b これは何の本なの?
c デネットってだあれ?
d せっかちな人のための要約Part 1―進化する自由
e せっかちな人のための要約Part 2―自由意志否定論への反駁
f なぜ本書の議論があなたにはピンとこないのか
g 謝辞その他
文庫版訳者あとがき 

著作者プロフィール

ダニエル・C・デネット

( でねっと,だにえる・C )

ダニエル・C.デネット(Daniel C. DENNETT):1942年生まれ。アメリカの哲学者。ハーヴァード大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号を取得。タフツ大学教授、同大学認知研究センター共同ディレクターを歴任。心の哲学の第一人者であり、認知科学者としても知られる。著書に『解明される意識』『ダーウィンの危険な思想』『心はどこにあるのか』などがある。

山形浩生

( やまがた・ひろお )

山形 浩生(やまがた・ひろお):1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。経済、文化、コンピュータなど、広範な分野で評論、執筆、翻訳活動を行う。訳書に『クルーグマン教授の経済入門』(ポール・クルーグマン著)、『21世紀の資本』(トマ・ピケティ著)、『ウンコな議論』『不平等論』(ハリー・フランクファート著)など多数。

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