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筑摩選書

アメリカの覇権喪失と世界の転換

新しい世界を誰がリードするのか

なぜアメリカは覇権を失い、国際社会のリーダー役を自ら放棄したのか。新勢力の台頭により大きく転換しつつある世界の構図を、国際政治記者が鮮やかに読み解く。

定価

2,310

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01837-3

Cコード

0331

整理番号

0318

2025/11/13

判型

四六判

ページ数

352

解説

内容紹介

アメリカはついに覇権国の地位から脱落し、民主的な国際社会の構築という大実験のリーダー役を自ら放棄してしまった。なぜアメリカは覇権を失ったのか。中国はアメリカに代わる覇権国となりうるのか。急激に存在感を高めるグローバル・サウス、旧覇権国であるヨーロッパの国々の動向は? そしてその中で日本はどう動くべきなのか――大転換の時を迎えた国際社会における、世界各国の動きと今後の展望を、長年にわたり国際政治を見つめてきたジャーナリストが鮮やかに読みとく。

目次

はじめに
トランプ圧勝の第一報を受けて/「底」に堕ちていくアメリカ/本書のアプローチ

第1章 世界がアメリカに引導を渡す
画期としての二〇二三年秋/E・H・カー『危機の二十年』は描く/アメリカ包囲網は何を意味するか/覇権の終焉を説く従来の議論との比較/バイデンはネタニヤフに何を語ったか/ウクライナ戦争をめぐる主要国のスタンス/指導者が迷走する時/アメリカの衰退と変容をどう見るか/軍事大国としてのアメリカ/覇権国の帰趨を決める二つの主題/派兵をめぐる賛否両論/ドル覇権も永遠ではない/中国とインドの行方/「国連無用論」が高まる中で

第2章 脇役の暴走が、世界の構図を書き換える
あるウクライナ人の思い出/ウクライナ開戦をめぐる二つの視点/プーチンの狙いは何か/「ハマスvsイスラエル」を生み出した国際関係/権力者の動機を探る/皇帝プーチンを生み出す政治力学/ネタニヤフ政権は何を演出してきたか/ネタニヤフのナラティブを解読する/プーチンは「西」の物語にこだわる/独裁者は「敵」を理解していたか/独裁者は「時代の変化」を理解していたか/指導者のリーダーシップ、そして民主主義/「大覇権国家ロシアの復活」という夢/イスラエルとアメリカの今後を占う/ネタニヤフのリーダーシップ、その背景とは何か

第3章 アメリカが失ったものの大きさを知るとき
世界を主導する意思をアメリカが失う/アメリカの変貌と衰退をどう見るか/「ひとり覇権」を維持する/金融覇権の追求で社会の分断は拡大/二つの戦争がアメリカを変えた/寛大さを失う社会/自由と平等と民主主義との緊張関係/トランプ再選と社会の分裂/土俵際に立たされている現在

第4章 中国の夢──単なる強大国か、真の覇権国家か
悲観論が強まる現在/ハイテク化で「悲観論」を克服する/軍事力の現段階/アメリカは中国を誤解したのか/ウクライナ戦争と中国/中国は世界を動かせたか/習近平の民主主義観/習近平は過去の指導者に何を学んでいるか/ソ連崩壊から得た教訓/ナショナリズムと「戦狼外交」に至る道/習近平が暴走する可能性

第5章 グローバル・サウスは従来の世界秩序に挑戦する
急速な台頭の背景とは/グローバル・サウスの定義/歴史的背景を探る/「民主主義の呪縛」から解放されて/多様性とエネルギー/中国とシンガポールを見習って/躍動するインド/グローバル・サウスをGとHで読み解く/インド民主主義を解明する/インドと中国の関係性

第6章 我々は民主主義を捨てられるのか
日本の選択肢とは/アメリカに逆らえない国から脱皮する/日米関係の未来を洞察する/「『自由と民主主義』という宇宙船」/地政学と歴史の交差点で/「自由で開かれたインド太平洋」/海洋国家としての歴史をふまえて/アメリカは日本の民主主義をどう見たか/日米同盟も民主主義も再考するとき/かつてない世界で日本の立ち位置を見つける

終章 ヨーロッパが「新たな世界」に向けて持つ意味
「厳しい時期」を迎えつつあるヨーロッパ/ロシアのエネルギー資源をめぐるドイツ・アメリカの駆け引き/「戦争を知りすぎた大陸」──戦後ドイツが歩んだ道/アメリカの「ひとり覇権」を牽制するドイツ・フランス/「沈黙」のヨーロッパに未来はあるのか/「アメリカを失った」ヨーロッパの解放感と高揚感/薄れつつあるドイツへの警戒感/EUの「弱さ」は「勁さ」である/「危機」こそが我々自身を勁くする/「大実験」のリーダーとしての強い自負/トランプ再選の伏線としての「心ざわつくアメリカ」/社会の分断とともに失われていく「アメリカらしさ」/それでもなお「共通善」を模索する/「大実験」の成果としての「狭くなった世界」

あとがき

著作者プロフィール

浅海保

( あさみ・たもつ )

浅海 保(あさみ・たもつ):1947年、東京生まれ。東京大学法学部卒業後、読売新聞に入社。政治部記者、ワシントン・モスクワ両特派員などを経て、『This is読売』副編集長、東京本社編集局長、同グループの副主筆などを歴任。この間、中央公論新社社長を務めたほか、「21世紀日本の構想」懇談会、日韓フォーラム、日印賢人会議などのメンバー、米カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院客員講師、順天堂大学国際教養学部特任教授も務めた。著書『アメリカ 多数派なき未来』(NTT出版、2002年)、『変節と愛国――外交官・牛場信彦の生涯』(文春新書、2017年)、『日米同盟を考える――〈共同体〉の幻想の行方』(作品社、2020年)。

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