loading...

筑摩選書

ことばの道草

——言語学者の回想と探求

自由に世界をめぐり 自在に領域を横断する学者による めくるめく知的冒険記

社会言語学やモンゴル研究をはじめ、幅広い探究を展開してきた碩学が、幼い日々から現在に至るまでに心に残った出来事を振り返る。知的魅力あふれるエッセイ集。

定価

1,980

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01838-0

Cコード

0380

整理番号

0319

2025/12/15

判型

四六判

ページ数

240

解説

内容紹介

日本における社会言語学の泰斗が来し方を振り返り、人生と研究に思いをめぐらせるエッセイ集。幼い日の思い出から語り起こし、言語学を志すに至った経緯、なぜソ連研究やモンゴル研究、さらにはクレオール研究までを志すようになったのか、そのいきさつを綴る。数多くの道草をやり過ごして先を急いできた言語学者が、こころに残るそれらを思い起こし書きとめた断章のつらなりから、領域を横断する知の世界が見えてくる。

目次

まえがき──この本を書くわけ

I 幼き日々の残照
イナゴとバッタ
桑の葉ものがたり
あめつちのうた
コメを食べるとアタマが悪くなるか

II モンゴル研究からシベリアへ
一九五〇年代という時期
税務署のアルバイトと東京外語の日々
最初のモンゴル旅行の思い出
最初のブリヤート
モンゴル語の正書法
「独立国」トゥバとの出会い

III ドイツからフィンランドへ
ぼくの二回目のドイツ留学
ドイツの冬
ケルンのピエモン書店

IV 道草の数かず
ゲオルク・フォン・デア・ガーベレンツと荻生徂徠
シューハルトと亀井先生の「学学」
「日銀の弟」氏
韃靼とタタールのものがたり
いわゆるタタールのくびき
日本のタタール人
タタール・ステーキの問題――サナダムシ
ぼくの読書のはじまり
スターリンとマル
千野栄一と亀井孝
谷垣実のメンタ
シュンちゃんといういたずらっ子の話
ナチンと馬たち
二人のスパイ
シャマニズムとカミツレソウ
トロッキーとドン・ファン
アイクラかアイネックか

V クレオール語研究の初しごと
ある出版人とぼくのクレオール語研究
池田恒雄最後のしごと――小泉八雲の全訳刊行
ドイツ人はみなオシ(唖)か? かれらの話すことばはオシ語(唖語)なのか?

VI 抵抗する言語──ウクライナ問題と言語学
言語から国際状況を考える
メイエ『新生ヨーロッパの言語』
ことばの数は増え続ける
ウクライナ語はロシア語の方言か?
アウスバウ――方言からの独立へ
独立を求めてたたかう方言
「文明」から排除される「民族」
文明主義からの脱出とソシュール
文化領域の巨大な変化の中で
文明語と文化語

VII ノモンハンのたたかい──モンゴルの存立
ノモンハン戦争八十五周年に寄せて――歴史にささったトゲ
遊牧民と家畜の運命 黄砂と花粉症――あるいは遊牧有害論

あとがき

著作者プロフィール

田中克彦

( たなか・かつひこ )

田中 克彦(たなか・かつひこ):1934年、兵庫県生まれ。東京外国語大学モンゴル語科、一橋大学大学院社会学研究科、ボン大学哲学部にて、モンゴル語、言語学、民族学、文献学を学ぶ。東京外国語大学、岡山大学、一橋大学、中京大学にそれぞれ在職。現在、一橋大学名誉教授。主な著書に『ことばは国家を超える』(ちくま新書)、『差別語からはいる言語学入門』(ちくま学芸文庫)、『ことばと国家』(岩波新書)、『「シベリアに独立を!」』(岩波現代全書)、『田中克彦自伝』(平凡社)、『言語学者が語る漢字文明論』(講談社学術文庫)などがある。

シリーズ・関連本

「筑摩選書」でいま人気の本

贈り物にぴったり