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ちくま文庫

エレンディラ

大人のための残酷物語として書かれたといわれる中・短篇。「孤独と死」をモチーフに、大著『族長の秋』につらなるマルケスの真価を発揮した作品集。

定価

638

(10%税込)
ISBN

978-4-480-02277-6

Cコード

0197

整理番号

-5-1

1988/12/01

判型

文庫判

ページ数

208

解説

内容紹介

コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの異色の短篇集。“大人のための残酷な童話”として書かれたといわれる6つの短篇と中篇「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を収める。

目次

大きな翼のある、ひどく年取った男
失われた時の海
この世でいちばん美しい水死人
愛の彼方の変わることなき死
幽霊船の最後の航海
奇跡の行商人、善人のブラカマン
無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語

著作者プロフィール

G.ガルシア=マルケス

( がるしあ=まるけす,G )

1928年、コロンビアに生まれる。ボゴタ大学中退後新聞記者となり、ヨーロッパ、ベネズエラなどでジャーナリストとして活動。そのかたわら小説を執筆し、1955年、処女短篇集『落葉』を出版。1967年発表の『百年の孤独』で世界的に評価される。1982年ノーベル文学賞受賞。主な作品に『族長の秋』『エレンディラ』などがある。

鼓直

( つづみ・ただし )

鼓 直(つづみ・ただし):1930年、韓国の馬山に生まれる。法政大学名誉教授。主な訳書に『百年の孤独』『族長の秋』『ブエノスアイレス事件』などがある。

木村榮一

( きむら・えいいち)

木村 榮一(きむら・えいいち):1943年、大阪市に生まれる。神戸市外国語大学名誉教授。主な訳書に『緑の家』『遊戯の終り』『ボルヘス、オラル』などがある。

この本への感想

80年代の日本にマジックリアリズムの洗礼を齎した名著。
よくよく読むと大西洋三角貿易にはじまる富裕から奴隷に至る厳然たる階級社会が全話に通底する。

人物たちはそれぞれの階層世界で運命と踊るが、その様相はまるで祭礼のような不思議な彩りに満ちている。
最初に本著を手にとってからもう40年が過ぎた。



歩く文庫好き

さん
update: 2024/03/27
南米を舞台とする作品はあまり読んだ事はなかったが、ラテン系の人はみな陽気という偏ったイメージは完全に覆された。登場人物の多くは深い悩みを持ち、その運命は過酷だ。「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」は身勝手で残忍な祖母に不思議なくらい天使のように従順だったエレンディラが次第に変わっていく様は、恐ろしく残酷で美しい。残酷なのに惹きつけられる不思議な物語だった。

きまぐれ

さん
update: 2008/10/25

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