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ちくま文庫

内田百閒集成 4サラサーテの盤

——サラサーテの盤

薄明かりの土間に死んだ友人の後妻が立っている―映画化された表題作のほか「東京日記」「東海道刈谷駅」などの小説を収める【解説: 松浦寿輝 】

定価

1,100

(10%税込)
ISBN

978-4-480-03764-0

Cコード

0193

整理番号

-12-5

2003/01/08

判型

文庫判

ページ数

336

解説

内容紹介

薄明かりの土間に、死んだ友人の後妻が立っている。夫の遺品を返してほしいと、いつも同じ時刻にそっと訪ねてくるのだ。はじめは字引、次に語学の教科書、そしてサラサーテ自奏のレコード―。映画化もされた表題作「サラサーテの盤」をはじめ不可思議な連作「東京日記」、宮城道雄の死を描く「東海道刈谷駅」など、百閒の創作を集める。

目次

東京日記
桃葉
断章
南山寿
菊の雨
柳〓〓
葉蘭
雲の脚
枇杷の葉
サラサーテの盤
とおぼえ
ゆうべの雲
由比駅
すきま風
東海道刈谷駅
神楽坂の虎

著作者プロフィール

内田百閒

( うちだ・ひゃっけん )

1889-1971。岡山市の生まれ。本名は栄造。ペンネームは郷里の百閒川にちなむ。旧制六高在学中は俳句に親しむ。東大ドイツ文学科卒。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学等でドイツ語を教える。教師をやめたのち作家活動に入り、特異な幻想をつづった短編集「冥途」「旅順入城式」を発表。飄逸な「百鬼園随筆」によってひろく世に出た。借金術の大家で、鉄道好きとしても知られていた。

この本への感想

「東京日記」。
一見して、整合性や一貫性が欠如しているように思える。でも、違う。このテクストにはそのような整合性や一貫性に対して、そんなものは鼻から無視じゃ!というような気配がある。それが怪奇的で、夢幻的な、どこか不思議な感覚を与えてくれる。
ここにあるのはバタイユのいう「戯れ」に似ているかも知れない。それは先の見えない子どもたちの遊戯である。
先が見えない。だからこそ、面白い。
月並みだけれど、それってちょっと人生に似ている。
でも、その人生は平凡で退屈なものではない。
だから、私は「東京日記」を読むのだろう。

牛坂夏輝

さん
update: 2009/12/08

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