平安王朝と源平武士 ─力と血統でつかみ取る適者生存
『源氏物語』で描かれる雅な世界の裏では、武士が暴力で支配する社会があった。血の入れ替えと殺し合いで、源氏と平氏が武士の代表格になっていく背景を描く。
清少納言や和泉式部が仮名文学で雅な貴族の世界を描いていた裏には、暴力が支配する武士の世界があった。それは地方だけでなく、都のすぐ近くでも人が殺されるような状態だった。そして、その雅な世界は武士による収奪によって成り立っていたのだ。この凄惨な時代、拡大・縮小を繰り返しながら、源氏と平氏が武士の代表格として確立してゆく。その背景にある、血の入れ替えと相剋の過程を克明に綴る。
序章 王朝絵巻世界の裏面史―隣り合わせの血と暴力
第1章 三つの謎―源平の突出、消えた名族、強い受領
第2章 源平はいかにして武士の代表格たり得たか
第3章 王臣家・群盗問題の解決と将門の乱
第4章 源氏の飛躍と秀郷流藤原氏の沈淪
第5章 藤原保昌を生んだ血統と政治的環境
第6章 “強い受領”の確立と摂関政治
第7章 源氏の凶暴化を促す藤原保昌一家
第8章 平氏を従える源氏―男系の棟梁と女系の家人
第9章 源氏の支配権の達成と秀郷流・利仁流藤原氏の編成
第10章 「源平」並立体制へ―源氏の内紛と平氏の台頭
第11章 平氏政権の達成と「源平」並立の空洞化
終章 鎌倉幕府という平氏政権―北条家の勝ち残り方
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