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ちくま学芸文庫

現代名文案内

——文章ギャラリー40作品

定価

990

(10%税込)
ISBN

978-4-480-08549-8

Cコード

0181

整理番号

-1-3

2000/04/10

判型

文庫判

ページ数

272

解説

内容紹介

文は人なりと言う。思考も空想も、表現にはいつも書き手の物の見方がにじみ出る。言葉の用いかたに、表現の対象の選びかたに、それぞれの人柄が映じる。戦後の文学作品からすぐれた文章を取り上げ、その魅力を論じ、作家の表現の想像力にせまってみよう。志賀直哉・谷崎潤一郎ら伝統の香り立つ文章から、村上春樹・柳美里ら若い感受性の息づく文章、寺田寅彦・沢村貞子ら生きる知恵が光る作品まで…、自在に渉猟し、選び抜かれたこの一文で日本語の美しさを読み、味わい、考える。

目次

1 ものの存在を問う(吉行淳之介―市街電車は石膏色の昆虫だった・『鳥獣虫魚』
阿川弘之―海は、眠った町を守りするように・『夜の波音』 ほか)
2 人生の陰翳を映す(藤沢周平―胸の中にほんの少し不逞な気分が・『おぼろ月』
松本清張―ああ、今、でんびんやさんが帰る・『或る「小倉日記」伝』 ほか)
3 心のひだを照らす(大岡昇平―私が殺人者となったのは偶然である・『野火』
福永武彦―忘れられた夢のように白い雪片が舞い・『風花』 ほか)
4 伝統がかおりたつ(志賀直哉―他の蜂が皆巣へ入って仕舞った日暮・『城の崎にて』
谷崎潤一郎―夕空にひろがっている紅の雲を仰ぎ見ると・『細雪』 ほか)
5 才気がほとばしる(横光利一―此の花は馬車に乗って、春を撒き撒き・『春は馬車に乗って』
川端康成―日本の山河を魂として君の後を生きてゆく・『横光利一』(弔辞) そうして、ふと信吾に山の音が聞えた・『山の音』 ほか)
6 生きる知恵が光る(寺田寅彦―頭が悪いおかげで大胆な実験を・『科学者とあたま』
中谷宇吉郎―春さえ立つのだから卵ぐらい立っても・『立春の卵』 ほか)

著作者プロフィール

中村明

( なかむら・あきら )

一九三五年山形県鶴岡市生れ。国立国語研究所室長、成蹊大学教授を経て、母校、早稲田大学の教授となり、現在、名誉教授。主な著書に、『作家の文体』『名文』『悪文』『比喩表現の世界』『人物表現辞典』(以上、筑摩書房)、『日本語語感の辞典』『日本の作家 名表現辞典』『笑いのセンス』『吾輩はユーモアである』『日本語文体論』『日本の一文30選』(以上、岩波書店)、『日本語の文体・レトリック辞典』『センスをみがく 文章上達事典』(以上、東京堂出版)、『美しい日本語』(青土社)などがある。

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