梅田卓夫
( うめだ・たくお )1938年、岐阜県に生まれる。名古屋大学教育学部卒業。愛知県立小牧工業高校の国語科教諭、愛知淑徳大学文化創造学部非常勤講師を歴任。 共著書(清水良典、服部左右一、松川由博)『風が記憶する』(作品集・私家版)1984年『国語表現・教材資料集』(生徒用・非売品)1985年『高校生のための文章読本』(筑摩書房)1986年『高校生のための小説案内』(筑摩書房)1988年『新作文宣言』(筑摩書房)1989年『表現改訂版』(筑摩書房高等学校用教科書)
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批評とはなんでしょうか。それは世界と自分をより正確に認識しようとする心のはたらきであり、みなさんの内部で日々“生き方をみちびく力”としてはたらいているものです―筑摩書房の国語教科書の副読本として編まれた名アンソロジー。どこかですすめられてちょっと気になっていた作家・思想家・エッセイストの文章が、短文読み切り形式でまとめられている。一般的な「評論文」のみならず、エッセイ・紀行文・小説まで含む編集が特徴。論文の読解や小論文の技術を習得するだけでなく、ものの考え方や感じ方まで鍛えることのできるワークブック。
この本を使うみなさんへ
[1] 私の流儀
1 みどりのパントマイム――子安美知子
2 遺書――B・バルトーク/羽仁協子訳
3 長い読書――中村真一郎
4 私は教育経験三十年――宮城まり子
5 春と猫塚――良知 力
〔手帖1〕 批評が生まれるとき
[2] 境界に立つ
6 ヘンリ・ライクロフトの私記――G・ギッシング/平井正穂訳
7 ああ西洋、人情うすき紙風船――岸惠子
8 満月の海の丸い豚――藤原新也
9 貧困の現代化――I・イリッチ/大久保直幹訳
〔手帖2〕 違いにこだわる
[3] 拒絶の勇気
10 サラリーマン訓――花田清輝
11 ゴルディウスの結び目――E・ケストナー/高橋健二訳
12 不健康のままで生きさせてよ――森 毅
13 独裁者の結びの演説――C・チャップリン/中野好夫訳
〔手帖3〕 常識を疑う
[4] 喩の世界
14 良識派――安部公房
15 隠喩としての病――S・ソンタグ/富山太佳夫訳
16 ユーモラスな現代――辻まこと
17 一握の大理石の砂――中井正一
18 中国の近代と日本の近代――竹内 好
〔手帖4〕矛盾を引き受ける
[5] 生と死のサイクル
19 一匹の犬の死について――J・グルニエ/成瀬駒男訳
20 断層――中上健次
21 妖怪たちとくらした幼年時代――水木しげる
22 娘時代――S・ボーヴォワール/朝吹登水子訳
23 闘士の休日――杉浦明平
〔手帖5〕 命をいとおしむ
[6] 作るよろこび
24 ジャズは行為である――山下洋輔
25 マンガは反逆のメッセージ――手塚治虫/ジュディ・オング
26 連歌と民衆の言葉――山本吉左右
27 長い話――黒澤 明
〔手帖6〕 もっと楽しく
[7] 思考するまなざし
28 手が考えて作る――秋岡芳夫
29 自動車と彫刻――A・ジャコメッティ/矢内原伊作訳
30 男結びについて――藤原覚一
31 石の思想――饗庭孝男
32 二つの瞳――蓮實シャンタル
〔手帖7〕モノをみつめる
[8] 異郷の発見
33 インドへの旅――吉田ルイ子
34 大仏開眼 七五二年の世界音楽祭――林 光
35 内臓とこころ――三木成夫
36 胡桃の中の世界――澁澤龍彦
37 言葉ともの――高良留美子
〔手帖8〕 不思議の国へ
[9] 制度の罠
38 母語と母国語――田中克彦
39 異時代人の眼――若桑みどり
40 もののみえてくる過程――中岡哲郎
41 接吻――阿部謹也
42 ホンモノのおカネの作り方――岩井克人
〔手帖9〕発想を縛るもの
[10] 〈私〉とは何ものか
43 否と言うこと――アラン/白井成雄訳
44 接続点――藤本和子
45 掟――F・カフカ/本野亨一訳
46 快楽――武田泰淳
47 思考――M・セール/及川馥訳
〔手帖10〕「私」という謎
[11] 明日を問う
48 飛行機と地球――サン=テグジュペリ/山崎庸一郎訳
49 コールドチェーンとひそやかな意志――森崎和江
50 複製技術の時代における芸術作品――W・ベンヤミン/高木久雄・高原宏平訳
51 終末の言葉――安岡章太郎
〔手帖11〕生き方をみちびく力
思索への扉
学芸文庫版へのあとがき 梅田卓夫/清水良典/服部左右一
解説「批評」の発見 熊沢敏之
索引(人名・作品名)
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