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ちくま学芸文庫

ありえないことが現実になるとき

——賢明な破局論にむけて

「最悪の可能性」は見過ごされ、大惨事は繰り返す――

なぜ最悪の事態を想定せず、大惨事は繰り返すのか。経済か予防かの不毛な対立はいかに退けられるか。認識の根源を問い、抜本的転換を迫る警世の書。

定価

1,320

(10%税込)
ISBN

978-4-480-09999-0

Cコード

0136

整理番号

-14-1

2020/08/06

判型

文庫判

ページ数

320

解説

内容紹介

なぜ私たちは最悪の事態に備えることができず、大惨事が繰り返されてしまうのか。あるいは、たとえば「経済か予防か」といった不毛な対立をしりぞけることはいかにして可能なのか。現代世界において破局的な出来事は、「想定外」のものとして思考の埒外に置かれるか、計量可能な「リスク」の問題へと矮小化されてきた。だが、そうした事態に繰り返し直面する今日にあって、私たちは破局を直視し、それを思考するすべを手に入れなければならない――。「賢明な破局論」を手掛かりに、私たちの認識のありようを鋭く問い、その根源的な転換を迫る警世の書。

目次

第1部 リスクと運命
特異な視点
迂回、逆生産性、倫理
運命、リスク、責任
技術の自律
係争中の破局論

第2部 経済的合理性の限界
予防―リスクと不確実性との間で
無知のヴェールと道徳的運
知ることと信じることは同じではない

第3部 道徳哲学の困難、欠くことのできない形而上学
未来の記憶
未来を変えるために未来を予言する(ヨナに対するヨナス)
投企の時間と歴史の時間
破局論の合理性

著作者プロフィール

ジャン=ピエール・デュピュイ

( でゅぴゅい,じゃん=ぴえーる )

ジャン?ピエール・デュピュイ(Jean-Pierre Dupuy):1941年フランス生まれ。哲学者。理工科学校教授、スタンフォード大学教授、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)倫理委員会委員長、イミタチオ財団研究主任などを歴任。2011年、ロジェ・カイヨワ賞受賞。おもな邦訳書に、「犠牲と羨望一自由主義社会における正義の問題」「ツナミの小形而上学」「聖なるものの刻印ー科学的合理性はなぜ自目なのか」などがある。

桑田光平

( くわだ・こうへい )

桑田光平(くわだ・こうへい):1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。おもな著書に、『ロラン・バルト一偶発事へのまなざし』などがある。

本田貴久

( ほんだ・たかひさ)

本田 貴久(ほんだ・たかひさ):1975年生まれ。中央大学経済学部准教授。おもな著書に、『モダニズムを俯瞰する』(共著)などがある。

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