loading...

シリーズ・全集

新・ちくま文学の森 1 恋はきまぐれ

——恋はきまぐれ

定価

1,923

(10%税込)
ISBN

978-4-480-10121-1

Cコード

0393

整理番号

1994/10/17

判型

四六判

ページ数

416

解説

内容紹介

わすれなぐさ ウィルヘルム・アレント/あいびき 堀辰雄/襖 志賀直哉/雪解 横光利一/隣の女 タゴール/鶴八鶴次郎 川口松太郎 他

目次

わすれなぐさ(ウイルヘルム・アレント)
ダフニスとクロエー(ロンゴス)
あいびき(堀辰夫)
襖(志賀直哉)
雪解(横光利一)
お客さん(コールドウエル)
サン・ピエールの百合(デイラン・ラニアン)
アルルの女(ドーデ)
隣りの女(タゴール)
犬を連れた奥さん(チエーホフ)
紙玉(アンダスン)
鶴八鶴次郎(川口松太郎)
掌の恋(和田芳恵)
みだれ髪抄(与謝野晶子)
志賀寺上人の恋(三島由紀夫)
サロメ(ワイルド)

著作者プロフィール

鶴見俊輔

( つるみ・しゅんすけ )

1922-2015年。哲学者。1942年、ハーヴァード大学哲学科卒。46年、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。65年、小田実らとベ平連を結成。2004年、大江健三郎らと「九条の会」呼びかけ人となる。著書に『アメリカ哲学』『限界芸術論』『アメノウズメ伝』などのほか、エッセイ、共著など多数。『鶴見俊輔集』全17巻もある。

安野光雅

( あんの・みつまさ )

安野 光雅(あんの・みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『片想い百人一首』などがある。2020年、逝去。

森毅

( もり・つよし)

1928年東京生まれ。東京大学数学科卒業。京都大学教養部教授を長く務める。著書に『まちがったっていいじゃないか』(ちくま文庫)、『数学の歴史』(講談社学術文庫)、『対談 数学大明神』(安野光雅氏と共著、ちくま学芸文庫)ほか多数。2010年7月逝去。

この本への感想

 (神様なんてホントに居るものなのかどうか知りませんが、仮に、恋の神さまが居るものだ、ということにして・・・)
 恋の神さまは相当にきまぐれらしい。とは、なんとなく判っているつもりではいたけれど・・・いやはや、これほどまでとは・・・。
 「きまぐれ」という言葉からイメージするのは「無邪気」とか「どこか憎めない」とか、そんなたわいもないような軽々しい印象を思い浮かべがちで、一見罪が無いようですが、実はかなりの罪つくり。恋の神さまに、ただただ操られるしかないワレワレ人間は、そのきまぐれに付き合わされ、翻弄され、もてあそばれて、もうヘトヘトのボロボロになりかねない。こんなに大変で理不尽で苦しいことは他には無いと思うくらい。それなのに、恋の真っ只中にいる者にとっては、この苦しみはどうも苦しみとは思えず、むしろ快楽にすら感じる事だってあるのだからフシギです。これもきっと恋の神さまのシワザのうちのひとつなのでしょう。
 だとすると恋の神は相当侮れない、手強い神さまという事になる。・・・この本を読むとそんな恋の神さまの本性、つまり裏の顔を垣間見る事ができるのでした。
 本書の構成はロンゴス作『ダフニスとクロエー』の健康的な恋の芽生えの物語に始まって、コールドウェルの『お客さん』、チェーホフの『犬を連れた奥さん』、川口松太郎『鶴八鶴次郎』と読み進めるにしたがって、恋の神さまのきまぐれ度はどんどんエスカレートしていき、振り子の振り幅がだんだん大きくなるかのごとく、行き着くとこまで行ってしまうと、もうそこには究極の恋の物語、ワイルド作『サロメ』のすンごい結末が待っている・・・。
 なるほど恋の神さまはきまぐれなのだなぁ、と頷かせられました。

義翁

さん
update: 2009/08/28

本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。

  • [*]は必須項目です。おそれいりますが、必ずご記入をお願いいたします。
  • (ここから質問、要望などをお送りいただいても、お返事することができません。あしからず、ご了承ください。お問い合わせは、こちらへ)
  • ※お寄せいただいたご意見・ご感想の著作権は小社へ帰属し、当ホームページや小社出版物に転載させていただく場合がございます。
  • ※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご了承ください。

「シリーズ・全集」でいま人気の本

これから「大人」になる人たちへ