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ちくま文庫

脳はなぜ「心」を作ったのか

——「私」の謎を解く受動意識仮説

「私とは何か」 「心とは何か」 ついにその謎が解けた?!

「意識」とは何か。どこまでが「私」なのか。死んだら「心」はどうなるのか。――「意識」と「心」の謎に挑んだ話題の本の文庫化。  【解説: 夢枕獏 】

定価

880

(10%税込)
ISBN

978-4-480-42776-2

Cコード

0104

整理番号

-41-1

2010/11/10

判型

文庫判

ページ数

256

解説

内容紹介

意識とは何か。意識はなぜあるのか。死んだら「心」はどうなるのか。動物は心を持つのか。ロボットの心を作ることはできるのか―子どもの頃からの疑問を持ち続けた著者は、科学者になってその謎を解明した。「人の『意識』とは、心の中でコントロールするものではなく、『無意識』がやったことを後で把握するための装置にすぎない。」この「受動意識仮説」が正しいとすれば、将来ロボットも心を持てるのではないか?という夢の広がる本。

目次

プロローグ 死んだら心はどうなるんだろう

第1章 「心」――もうわかっていることと、まだわからないこと

(1) 心の五つの働き
   心とは何だろうか?/心の鍵は意識と無意識
(2) 意識の三つの謎
   心は脳に宿るのだろうか?/心はどこにある?
(3)〈私〉と「私」と「自分」の関係
  「私」と〈私〉の違いとは?/前野隆司と前野隆司二号の違いとは?
   なぜ〈私〉だけが〈私〉なのか?
(4) 脳の無意識を担う「小びと」たち
   役割をこつこつこなす小びとたち/脳のバインディング問題とは?
(5)「私は生きているんだ!」という質感
  「クオリア」とは何か?/クオリアは最大の謎か?

第2章 「私」は受動的――新しいパラダイム

(1) からだのどこまでが自分なのか?
   シロアリの腸内バクテリアはシロアリの一部か?/大腸菌は人間の一部か?
(2) 脳=「私」ではない?
   剣玉は自分の一部か?/小びとたちから見ると中も外も同じ
(3) 目で見るのではなく、脳を見ている「私」
   なぜ「赤いリンゴ」とわかるのか?
   私たちは「赤いリンゴ」という情報を見ている
(4)「私」ではなく、小びとたちが考える
  「私」は主体的に考えているか?/考えているのは「無意識」の小びとたち
(5) 喜怒哀楽も、小びとのいたずら
   胸がキュンとするのも受動的?/笑った顔を作ってみると楽しい気分になる
(6)「意図」も主体的ではない?
  「よーい、ドン!」と走り出すとき決意はすべての始まりか?
(7) 指を動かし始めたあとで、動かそうと意図する「私」
   リベット博士の実験の衝撃?/「私」は「意図」したと錯覚している
(8) 人は何のために錯覚するのか?
   脳は空間を都合のいいようにひずませる/脳は時間のつじつまも合わせる
(9) 心の地動説――地球は太陽にしたがい、「私」は「自分」にしたがう
  「意識」するタイミングは錯覚/錯覚したほうが都合がいい/心の地動説
(10) 川の下流にいる「私」
   小びとたちは多数決で決めている/ニューロンは使ったものほど発火する
   結果だけを見て錯覚している「私」

第3章 人の心のたねあかし――意識の三つの謎を解く

(1)「私」は心を結びつけてはいない
   心はバーチャルワールド/脳はバーチャルリアリティーに近づけるか
(2)「私」は何のために存在するのか?
   エピソード記憶ができないと不便?/「意識」はエピソード記憶のためにある
(3) 自分のコピーを作ると〈私〉はどうなる?
   前野隆司二号の中の〈私〉とは何なのか?
  〈私〉の正体は無個性なクオリアの錯覚
(4) 個性や創造性は心のどこが担うのか?
   人の個性は小びとが担う/「私」はかやの外
(5) 心の質感は何のために存在するのか?
   クオリアについての三つの疑問/クオリアは何のためにある?
(6) 心の質感はどのように表現されるのか?
   クオリアと言語の違い/「コンピュータクオリア」の開発
(7) 心の質感はどのように感じられるのか?
   指先の触感は錯覚としか考えようがない/生き生きとしたクオリアはみな錯覚

第4章 心の過去と未来――昆虫からロボットまで

(1) 動物は心を持つか?
   心を持つのは人間だけ/霊長類は心を持たない?
(2) 昆虫の気持ちになってみると!?
   羽アリは痛いと感じるか?/昆虫の気持ちの味わい方/昆虫と人の違いは?
(3) 夢・催眠・超常現象・神秘体験の意味
   人は何のために夢を見るのか?/脳が作り出す超常現象
(4) 東洋的な世界観と受動的な「私」
  「私」は生かされている
(5) 永遠の命は可能か?
   究極の選択/私たちが失いたくないのは〈私〉/人が死を恐れる理由とは?
  〈私〉は永遠
(6) 心を持ったロボットは作れる
   心を持ったロボットを開発してもいいですか?/ロボットの個性は作りこめる
   心を持ったロボットのメリット/心を持ったロボットの問題点
(7) 人も動物もロボットも平等な社会
   人類の歴史は富と権利の拡大の歴史/動物への人権拡大
   ロボットへも人権拡大/素朴な自然崇拝の再来

第5章 補遺――「小びと」たちのしくみ

(1) コンピュータと脳は同じか?
  「小びと」はニューラルネットワーク/コンピュータも脳も1+1を繰り返す計算機
   脳がコンピュータよりもすごいところ
(2) ニューラルネットワークは万能コンピュータ?
   階層型ニューラルネットワークの計算のしくみ
ニューラルネットワークにソフトはない
(3) フィードバックとフィードフォワード
   フィードバック制御のしくみ/フィードフォワード制御のしくみ
(4) フィードフォワードモデルの学び方
   なぜこぶを乗り越えられるようになるのか?
(5) 順モデルによる脳内イメージと思考
   練習しなくても上手くなる方法/行動の三つの方法
   心はニューラルネットワークで表現できる

エピローグ 〈私〉は死なないんだ

参考文献
文庫版あとがき

解説 私はどこにいるか   夢枕獏

著作者プロフィール

前野隆司

( まえの・たかし )

1962年生まれ。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。1984年東京工業大学卒業、1986年同大学大学院修士課程修了後、キヤノン(株)入社。1995年慶應義塾大学専任講師。助教授を経て現在教授。博士(工学)。現在は、ロボット―ヒューマンインタラクション、人と社会の欲求・幸福・協生・平和の研究、コミュニティーシステムデザインの研究等に従事。著書に『脳はなぜ「心」を作ったのか』(ちくま文庫)、『脳の中の「私」はなぜ見つからないのか?』(技術評論社)、『記憶』(ビジネス社)、『思考脳力のつくり方』(角川oneテーマ21)などがある。

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