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ちくま文庫

石の文学館

——鉱物の眠り、砂の思考

アポロンの姿をとどめる瑪瑙、選ばれた者だけが掘り出せる秘密の水晶、ヨーロッパの石畳もサハラの砂漠も……悠久の時間を湛える石を愛でる38編。

定価

924

(10%税込)
ISBN

978-4-480-43729-7

Cコード

0193

整理番号

-13-6

2021/04/08

判型

文庫判

ページ数

400

解説

内容紹介

玄武岩や方解石を集める少年の収集熱を描いた稲垣足穂も、世界中を旅して方々の石を持ち帰った草野心平も、イスタンブールの宝飾品に我を忘れた塩野七生も、太古の水を宿した瑪瑙に「塔に閉じこめられた姫君」を夢想する澁澤龍?も……私たちはみな、掌に収まる石に耳を寄せ、その石が湛える悠久の時間の声を聞こうとする。あなたの石はここにありますか? すべての石好きに贈る七色に輝く38篇。

目次

1 われら鉱物愛好倶楽部!
水晶物語 稲垣足穂
水晶の靴 桑原武夫
岩手軽便鉄道 七月(ジャズ) 宮沢賢治
星英晶 高原英理
水晶宮 高柳誠
水晶狂い 渋沢孝輔


2 石の眠り、石の夢
石の中の鳥 椿實
石の夢 澁澤龍?
聖女の宝石函 ビンゲンのヒルデガルドの『石の書』 種村季弘
奥さまの耳飾り 安房直子

3 サファイア、トルコ石、ダイヤ
宝石と宝飾 塩野七生
天気 西脇順三郎
サハラヘ――トルコ石〈十二月〉 木崎さと子
ピアス 森瑤子
三つの指環 芥川龍之介
翡翠 室生犀星
ダイヤモンドのしらみ 村山槐多
指輪 吉田一穂

4 ヨーロッパ――石畳と神殿と
舗石を敷いた道 須賀敦子
美しい石の都プラハ 安部公房
シジフォスの石 一条徹
方々の石 草野心平
神殿 小川国夫

5 石が生んだ文化を訪ねる
石仏の里 国東 遠藤周作
龍安寺 山口誓子
石垣 井伏鱒二
石の花びら 尾崎喜八
縁結びの石 岡本かの子
奇縁氷人石 窪田空穂

6 石から物語が始まる
夜の宮殿と輝くまひるの塔 山尾悠子
石の声 辻井喬
静か石 田久保英夫
太陽の石 手塚治虫
賽の河原の話 柳田國男

7 砂漠の思想への旅
砂漠の思想 安部公房
月の砂漠 角田光代
沙漠の国の旅から 井上靖
アトランティス 北園克衛


編者エッセイ 石が内包する時間 和田博文

著作者プロフィール

和田博文

( わだ・ひろふみ )

和田 博文(わだ・ひろふみ):1954年、横浜市生まれ。東京女子大学現代教養学部特任教授・東洋大学名誉教授。ロンドン大学SOAS、パリ第7大学、復旦大学大学院の客員研究員や客員教授を務めた。著書に『日本人美術館のパリ 1878-1942』(平凡社)、『三越 誕生!――帝国のデパートと近代化の夢』(筑摩選書)、『海の上の世界地図――欧州航路紀行史』(岩波書店)、『シベリア鉄道紀行史――アジアとヨーロッパを結ぶ旅』(筑摩選書、交通図書賞)、『資生堂という文化装置 1872-1945』(岩波書店)、『飛行の夢 1783-1945』(藤原書店)など、編著に『モダン東京 地図さんぽ』(風媒社)、『猫の文学館』Ⅰ・Ⅱ、『月の文学館』『星の文学館』『森の文学館』『石の文学館』(ちくま文庫)などがある。

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