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ちくま文庫

須永朝彦小説選

チェンバロの綺羅綺羅しい響き、橋の袂に佇む天使、青暗い水に潜む蛇……独特な美意識で幻想文学ファンを魅了した作品から山尾悠子が25篇を選ぶ。

定価

946

(10%税込)
ISBN

978-4-480-43769-3

Cコード

0193

整理番号

-29-1

2021/09/09

判型

文庫判

ページ数

320

解説

編者解説、解題(礒崎純一)

内容紹介

「一語の揺るぎもない美文、人工の言葉でできた小宇宙…」。須永朝彦を敬愛してやまない山尾悠子が遺された小説から25作品をセレクト。〈耽美小説の聖典〉と称された『就眠儀式』『天使』から、密かな注目を集めつつ単行本化を見なかった連作「聖家族」まで。吸血鬼、美少年、黒い森の古城…稀代の審美眼を有した異能の天才が描き出す官能と美の迷宮へようこそ!解題:礒崎純一追悼―――美しき吸血鬼、チェンバロの綺羅綺羅とした響き、冥府よりの誘惑者に恍惚と導かれゆく至福…山尾悠子が選ぶ珠玉の25編

著作者プロフィール

須永朝彦

( すなが・あさひこ )

1946年、足利市生まれ。塚本邦雄の影響を強く受け、歌人として出発するが、1970年代には耽美的で幻想的な小説の数々を発表する。稲垣足穂、佐藤春夫、澁澤龍彦らに触発されたというその作品は、どれも深い知識と美意識に裏打ちされ、多くの幻想文学ファンをうならせた。歌舞伎にも深い造詣をもち、また坂東玉三郎主演台本も手掛けた。1990年代以降は『鏡花コレクション』Ⅰ~Ⅲ、『江戸奇談怪談集』などのアンソロジーを多く編んでいる。『就眠儀式』『天使』などの小説集、『美少年日本史』『歌舞伎ワンダーランド』などの評論集、『須永朝彦歌集』『須永朝彦小説全集』などがある。2021年5月逝去。

山尾悠子

( やまお・ゆうこ )

山尾 悠子(やまお・ゆうこ):岡山市生まれ、小説家。同志社大学文学部国文学科卒業。1975年、「仮面舞踏会」(「S-Fマガジン」早川書房)でデビュー。2018年、『飛ぶ孔雀』で泉鏡花文学賞、日本SF大賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。小説に『仮面物語 或は鏡の王国の記』、『オットーと魔術師』、『ラピスラズリ』、『増補 夢の遠近法』、『歪み真珠』、『山の人魚と虚ろの王』、エッセイ集『迷宮遊覧飛行』、歌集『角砂糖の日』などの著書がある。

この本への感想

黄昏に長く尾をひく影を慕って何処までもついて行く気持ちで読み始めました。
天使や吸血鬼にうっとりさせられ、漢字表記の外国の地名や花の羅列にはむせぶばかり、乱歩たちの架空の対談は少し毛色が違って、でもこれもまた楽しく、数々の流麗な小説をこころゆくまで堪能(…堪能よりもむしろ耽溺と言った方がいいのかもしれませんが)いたしました。

さん
update: 2022/09/08

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